改訂新版 世界大百科事典 「白金酸」の意味・わかりやすい解説
白金酸 (はっきんさん)
platinic acid
酸化白金(Ⅳ)4水和物PtO2・4H2OはH2[Pt(OH)6]と書くことができるので白金酸(正式にはヘキサヒドロキソ白金(Ⅳ)酸)と呼ばれる。また,これはPt(OH)4・2H2Oと書くこともできるので水酸化白金(Ⅳ)とも呼ばれるが,正確な構造は不明である。白金を王水に溶かしたときにできる塩化白金酸(Ⅳ)H2[PtCl6]の水溶液に水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加え,長時間煮沸した後,酢酸で中和すると得られる。無色ないし淡黄色粉末。水に不溶。100℃以上に熱すると,徐々に水を失い,色は暗色となり,酸に不溶となる。新しく沈殿させたものは塩酸に溶けてH2[PtCl2(OH)4]となり,硫酸に溶けてH2[Pt(SO4)(OH)4]となる。アルカリに溶けて淡黄色溶液となり,これからM2[Pt(OH)6](M=Na,K,Ag,Tl)が得られる。K塩はK2[Sn(OH)6]と同形で,水に難溶である。
執筆者:近藤 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報