日本大百科全書(ニッポニカ) 「皮舟」の意味・わかりやすい解説
皮舟
かわぶね
枠材に樹皮や獣皮を張った舟。樹皮舟はシベリアや北アメリカの寒帯針葉樹林地帯と熱帯広葉樹林地帯でつくられるものとに構造的に二分される。前者が極地でつくられる獣皮舟と類似した構造をもち、骨組が堅牢(けんろう)であるのに対し、後者は簡単な骨組しかもたない。獣皮舟は形態によって楕円(だえん)または円形のコラクル型、船首と船尾のあるウミアック型、ウミアックと同様の流線型をしながら、座席部を除いて甲板状に皮の覆いのあるカヤック型に分けられる。コラクルはアイルランドやイギリスに独特な皮舟の名で、この型のものは、チベットではヤク皮で、北アメリカではバイソンの皮でつくられ、全世界的に分布した。ウミアック型およびカヤック型の分布はエスキモーなどの極地地域の民族を中心とする。
[横山廣子]