盤渉調(読み)バンシキチョウ

デジタル大辞泉 「盤渉調」の意味・読み・例文・類語

ばんしき‐ちょう〔‐テウ〕【盤渉調】

雅楽六調子の一。盤渉の音を主音とする旋法。

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精選版 日本国語大辞典 「盤渉調」の意味・読み・例文・類語

ばんしき‐ちょう‥テウ【盤渉調】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ばんしきぢょう」とも ) 雅楽の唐楽の六調子一つ。盤渉(洋楽のロにあたる)の音を主音にした調べ。冬の調子といわれる。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「盤渉調曲」(出典:二十巻本和名抄(934頃)四)

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世界大百科事典(旧版)内の盤渉調の言及

【雅楽】より


【楽理】
 大陸から楽舞とともにもたらされた理論や用語は,当初は実際の音楽と適合していたにちがいないが,やがて音楽のほうが変わってきたため,しだいに実態とかけはなれていった概念が多い。
[音階と調子]
 平安時代以来の説によると,音階には宮・商・角・徴(ち)・羽の〈五声〉(五音(ごいん))を洋楽音階名のド・レ・ファ・ソ・ラに配する〈律(りつ)〉と,ド・レ・ミ・ソ・ラに配する〈呂(りよ)〉との2種があり,さらに宮音の位置によりそれぞれが3種の調をもつとされ,壱越調(いちこつちよう)(壱越),平調(ひようぢよう),双調(そうぢよう),黄鐘調(おうしきちよう)(黄鐘),盤渉調(ばんしきちよう)(盤渉),太食調(たいしきちよう)のつごう6種類の調が規定される(律呂)。これを唐楽六調子またはたんに六調子という(表2)。…

【能管】より

…拍に規定されたリズムで吹く合ワセ吹キと,拍に規定されないリズムのアシライ吹キがあり,四拍子(よひようし)のみの合奏には両者が用いられ,謡(うたい)の伴奏はアシライ吹キだけである。旋律の基本のにおける各句の終止音が,歌口に近い指孔二つ(森田流は三つ)をおさえた音であるものを黄鐘(おうしき)調といい,これが基本であるが,歌口に最も近い1孔をおさえる盤渉(ばんしき)調の曲もある。特殊なものに双調(そうぢよう)と平調(ひようぢよう)がある。…

【盤渉】より

…基音である壱越(いちこつ)の音から10律目の音で洋楽のロ音とほぼ同じ高さの音。雅楽でこの音を主音とする調子を盤渉調といい,六調子の一つで律呂のに属するとされる。(2)能の用語。…

【六調子】より

…呂),黄鐘(おうしき)調(黄鐘が宮。律),盤渉(ばんしき)調(盤渉が宮。律),太食(たいしき)調(大食調とも。…

※「盤渉調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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