改訂新版 世界大百科事典 「直接費間接費」の意味・わかりやすい解説
直接費・間接費 (ちょくせつひかんせつひ)
direct cost, indirect cost
一定単位の給付の製造または販売に関して発生したことが直接的に認識できる原価要素を直接費といい,そうでない原価要素を間接費という。直接費(直接原価ともいう)は製造直接費と販売直接費に分かれ,間接費も製造間接費(減価償却費,火災保険料など)と販売間接費(広告宣伝費,運搬費など)に分かれる。直接費と間接費の区別はかつては計算手続によっていた。しかし現在では,生産組織の部門化や生産工程の自動化・装置化により,直接費と間接費の区別は経営管理の点から給付に対する原価の発生形態によっている。日本の原価計算基準も,費目別計算の原価要素を,原則として,形態別分類を基礎にして直接費と間接費に大別し,さらに必要に応じ機能的分類を加味して細分することにしており,販売費および一般管理費の要素も費目別計算の場合に準じて分類することにしている。なお実務では,経済性と重要性から,本来は直接費でも間接費として処理されたり,また間接費でも直接費として処理されたりすることもある。
執筆者:長屋 英郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報