朝日日本歴史人物事典 「真如海」の解説
真如海
生年:元禄1頃(1688)
江戸時代の出羽湯殿山の即身仏(即身成仏した行者のミイラ)。大日坊(山形県朝日村大網)に祀られる。農業・進藤仁左衛門の子として生まれ,青年時代に大日坊の一世行人となる。入門の動機は,肥桶を担いで野良を歩いているとき,武士とすれちがい,道をよけようとしたはずみに武士に肥をかけてしまった。怒った武士が刀を抜いて斬りかかってきたので,稲杭で応戦しているうちに殺してしまい,そのまま大日坊へ駆けこんだという話が伝えられている。しかしこの武士殺しは史実ではなく,実際にあった武士の無礼討ち事件をもとに批判的に作り出されたものらしい。天明1(1781)年から3年間,湯殿山奥の院近くの仙人沢で山籠修行ののち天明3(1783)年,96歳で大日坊の東2kmにある大日山で土中入定したという。この年,東北地方は歴史的な天明大飢饉に襲われた。<参考文献>内藤正敏『ミイラ信仰の研究』『修験道の精神宇宙』
(内藤正敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報