朝日日本歴史人物事典 「真興」の解説
真興
生年:承平5(935)
平安中期の南都の僧で子島流の祖。興福寺空晴,仲 算を師として剃髪,受戒し法相宗の研鑽に励む。その後,吉野山の仁賀に会い真言密教を学び,永観1(983)年には河内善成寺で灌頂を受ける。勧修寺の遍覚の弟子でもあったようである。学徳に優れていたこともあり維摩会,御斎会などの法会に関与しており,長保5(1003)年には維摩会講師を勤めている。また僧位,僧官も高く,同年には法橋,翌年には権少僧都に任ぜられている。永観年間(983~985)には山岳寺院である子島寺を再興し,境内に観覚寺を創建し密教の一派子島流を開いた。教学関係の著述も多く『唯識義』をはじめ分野は法相,天台,真言など多方面にわたる。弟子には利朝,祈親,清海,清範などがいる。<参考文献>追塩千尋「子島寺真興の宗教的環境」(『仏教史学研究』14巻2号)
(追塩千尋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報