朝日日本歴史人物事典 「仲算」の解説
仲算
平安中期の法相宗の僧。興福寺空晴を師として天慶9(946)年に法相宗の修行に入る。応和3(963)年の応和の宗論では,南都側の代表として天台の良源を屈服させる。その後,熊野那智山に赴くが,そのとき安和2(969)年に死去したとも伝えられる。康保2(965)年,村上天皇40歳宝算奉賀の際詠んだ歌が『拾遺和歌集』巻5に収められている。説話の世界でも著名で,のちに神仙の境地を得た稚児を寵愛したという『本朝神仙伝』にみられる仲算伝を原型として,中世の説話に多く登場する。
(追塩千尋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報