石原家記(読み)いしはらかき

日本歴史地名大系 「石原家記」の解説

石原家記
いしはらかき

二〇巻 石原為平著

成立 天明年間

写本 篠山神社文庫

解説 久留米藩を中心とした年代記ともいうべき書。石原家の先祖は丹波福知山の人で、藩主有馬豊氏が筑後に転封した際に随従し、材木商・造酒業を営む。為平の父山本通平が石原家に養子に入る。為平は壮年時代から藩米の回送と販売を委託され、明和二年に浪人格永世禄蔵米二〇〇俵と御目見浪人格を与えられた。研究熱心な人物で、業務の合間に旧記や古老の伝説を集め、自己の見聞も加えて、有馬氏入封の元和七年以降天明初期に至るできごとをまとめたのが本書である。内容は藩主や藩士、藩政に関すること、寺社の由来や縁起、災害、時々の銭や農産物の相場、久留米に限らず全国各地のできごとなど多岐にわたるが、一八世紀以降は経済関係の記録が増える。旧記や伝聞類いは傍証史料が必要であるが、それを欠く記録も多く含まれる。一〇代藩主有馬頼永が本書をみて感心し、右筆に複本を作らせて山本家に与え、その写本を篠山神社文庫が保管。現存するのは一五巻のみ。

活字本 昭和一六年「石原家記」上下二巻。同四八年に復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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