いけ花の古典的様式の一つ。株立てともいい、元来、鉢に砂を入れて草木を挿したところから生まれた花の呼称。室町時代、座敷飾りのいけ花として、違い棚の下に飾られるようになって、高さに比べ横幅の広い形式をとり、一つの鉢に2株、3株、5株といけられた。しかしその技法は明らかでなく、のちに「砂の物は立花の略儀なるもの也(なり)」「一榾(ひとかぶ)・二榾」(『立華正道集』1684年初版)に示すように、立花様式のなかに取り入れられ、草の立花として扱われるようになった。一株立てのものと二株立てのものがあり、違い棚のみならず床飾りの花としても用いられた。砂の物が草体として自由闊達(かったつ)な性格を開花発展させるのは、2代池坊(いけのぼう)専好、その弟子大住院以信(だいじゅういんいしん)といった名手たちの出現によってで、1678年(延宝6)正月、本能寺開山二百年忌の際に以信は高さ2間2尺(約4.2メートル)横6間2尺(約11.4メートル)という砂の物の大立花をいけている。
[北條明直]
…立花は巨大化し元禄期の立花師,藤掛似水,猪飼三枝による南都大仏殿の開眼供養における献花は,松一色による対瓶の大立花で,高さ12mに及ぶものであったと記録される。富春軒が草体の立花であるとした〈砂之物〉は立花の変形で,かつての前栽の流れをくむものであるが,盤に立てられた横に構成が展開されていく形式のもので,大住院の作品にはこの形式による大作が多い。
[生花(いけはな)と抛入花(なげいれはな)]
室町期に立花に対して,法式を定めず自由なかたちにいれるものとされていた〈なげいれはな〉は,安土桃山期に茶の湯のいけばな,茶花として千利休によって確かな地位が与えられた。…
※「砂の物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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