磁気年代学(読み)じきねんだいがく(その他表記)magnetostratigraphy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁気年代学」の意味・わかりやすい解説

磁気年代学
じきねんだいがく
magnetostratigraphy

地球磁場の時間変化を利用して地層などの年代を測定すること。磁気層序学ともいう。過去数千年程度については、地磁気伏角(ふっかく)、偏角、強度の変化がかなり連続的に知られているので、試料の残留磁化の方向や強度の測定値からその時代を決めることができる。この期間への適用については、とくに考古磁気学archeomagnetismとよぶこともある。新生代第三紀から第四紀にかけては、平均20万年に1回の割合で地磁気の逆転がおこったことが知られており、その逆転間隔が無秩序に変わっているために、連続した地層での残留磁化の極性(現在と同じ場合を正、それと反対向きの場合を逆とよぶ)の変化のパターンを調べて年代を求めることができる。たとえば、現在から78万年前までは極性が正(ブリュンヌ期)、それ以前258万年前まではおもに逆(松山期)、さらにそれ以前の358万年前まではおもに正(ガウス期)といったぐあいである。この方法は初め深海底堆積(たいせき)物に用いられて成功し、現在では陸上岩石に対しても広く適用されるようになっている。

河野 長]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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