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残留磁化 ざんりゅうじかresidual magnetization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

残留磁化
ざんりゅうじか
residual magnetization

強磁性体などの磁性体に外部磁場を加えたのち,磁場をゼロにしたとき物質に残留する磁化をいう。残留磁化を応用したものが永久磁石である。残留磁化の原因は物質の異方性磁区構造に起因する。残留磁化と飽和磁化の比は,圧延再結晶により結晶粒をそろえた方向性ケイ素鋼板でほぼ 100%,磁場と直角方向に磁化容易軸をもつイソパームでは0%で,通常の強磁性材料では 50~80%である。強磁性体磁気転移温度よりも高温にしてから磁場中で冷却したときに発生する磁化を熱残留磁化という。

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百科事典マイペディアの解説

残留磁化【ざんりゅうじか】

磁性体磁場をかけて磁化させた後,磁場を除いてもなお残る磁化。軟鉄では小さいので電磁石に,鋼鉄では大きいので永久磁石に利用される。→強磁性体磁気モーメント
→関連項目磁気ヒステリシス磁区磁石常磁性

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大辞林 第三版の解説

ざんりゅうじか【残留磁化】

強磁性体を磁場の中に入れて磁化してのち、その磁場を取り去っても失われずに残っている磁化。永久磁石はこれを利用したもの。残留磁気。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

残留磁化
ざんりゅうじか
remanent magnetization

磁場がかかっていない状態で、磁性体がもつ磁化のこと。磁場をかけて磁化を発生させたのち、磁場をゼロにしても磁化がゼロにならずに残ることを「残留磁化をもつ」という。強い磁場をかけて磁化を飽和させたあと、磁場をとり去っても残る磁化を飽和残留磁化というが、これが大きいことは永久磁石用材料にとって必要条件の一つである。飽和残留磁化の値は磁性体内部の構造などさまざまな性質に依存し、同一材料でも熱処理の仕方などで大きく変化する。
 磁気記録は、磁気テープやディスクなどの表面に塗られた磁性体を異なる方向に磁化し、後にそれを読み取ることで実現している。[河野 長]

自然残留磁化

自然界にある各種の岩石は1~数パーセント程度の磁性鉱物(マグネタイトFe3O4やヘマタイトFe2O3など)を含んでおり、これらは弱い残留磁化をもっている。これを自然残留磁化という。この残留磁化には落雷の際に獲得されるものなどもあるが、多くの場合、その岩石ができたときの地球の磁場を記録している。このため、その磁化を測ることにより過去の磁場について知ることができる。
 こうした有用な自然残留磁化としては、火山岩がキュリー点(マグネタイトで580℃、ヘマタイトで690℃)以上の温度から低温に冷却したときに獲得する熱残留磁化、堆積(たいせき)岩が海底や湖底に積もるときに磁性粒子の方向が統計的にそろうために獲得する堆積残留磁化などがある。[河野 長]

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世界大百科事典内の残留磁化の言及

【永久磁石】より

…磁気ヒステリシス曲線では縦軸に磁化(または磁束密度),横軸に印加磁場を取り,磁化の大きさを磁場の関数として示してある。このときにヒステリシスがあり,磁場の正方向から負方向への変化に際して磁場がゼロでも磁化が残るとき,これを残留磁化と呼ぶ。負方向に磁場を増加させていってもなかなか磁化は減少しないのが硬磁性体であるが,ついには減少を始め,磁化がゼロになるところの負方向の磁場の大きさを保磁力と定義する。…

【磁化】より

…次に磁場の大きさを減少させると磁化は減少するが,磁場を0にしても磁化は0にならない。このときの磁化(OM)を残留磁化residual magnetizationと呼ぶ。さらに逆向きの磁場を加え,磁場の大きさを増加させるとある磁場の大きさで磁化が0になり,このときの磁場(OC)を保磁力coercive forceという。…

【ヒステリシス】より

…A点から磁場を減らして0にすると,曲線はBに達する。OBを残留磁化という。磁場の向きを逆にして,負の向きに増加していくと,曲線はBCと変化し,磁化は0となる。…

※「残留磁化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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