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社会的厚生関数 しゃかいてきこうせいかんすうsocial welfare function

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会的厚生関数
しゃかいてきこうせいかんすう
social welfare function

社会全体の資源配分の効率性,すなわち社会全体の経済的厚生を評価する際の関数。個々人の効用を測定できて個人間の効用を比較できるときには,ある資源配分に対する経済的厚生は,その資源配分から得られる個々人の効用を合計すればよい。ところが,効用の基数性と個人間の効用比較を排除すると,異なる個人の効用を単純に合計できない。そこでそれらを排除した新厚生経済学においてはパレート最適という厚生基準が導入されたが,異なるパレート効率的な配分を比較できない。これらを比較するためにアブラム・バーグソンによって社会的厚生関数が初めて導入され,ポール・A.サミュエルソンによって展開された。ただし「一般不可能性定理」として社会的厚生関数を社会の構成員の個人的判断から構成するような民主主義的な社会的集計のルールは存在しないことがケネス・J.アローによって指摘された。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいてきこうせいかんすう【社会的厚生関数】

社会を構成する個々の成員の経済的な厚生をもとにして、社会全体としてどのような厚生の水準にあるかを導き出す関数。ある経済政策の実行が望ましいかどうかを判定する価値基準として用いられる。 → 厚生経済学

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世界大百科事典内の社会的厚生関数の言及

【厚生経済学】より

…古くから論議されているものは個人間の平等な配分を正当化しようとするものであるが,十分な根拠を見いだすのは困難である。一般に価値判断を表現する方法として,評価すべき資源配分にその望ましさに応じて数値を割り当てる社会的厚生関数という概念が用いられることがあるが,これを民主的手続に従って構成することは不可能であるというK.J.アローの一般可能性定理が知られている。これは,厚生経済学が基礎を置く社会的価値判断の形成には困難が伴うことを示している。…

【効用】より

…ここにおいて効用は測度の単位選択および測定の問題から解放されたのである。また,本来個人の主観的評価である効用概念を,社会全体に適用した(社会内部の全個人の効用の集合として)社会的効用あるいは社会的厚生関数という概念が厚生経済学などで使われている。限界革命限界効用理論【猪木 武徳】。…

【社会的厚生】より

…しかし分配の公正に関する価値判断そのものは経済学が定めうるものではないとしても,社会において関心の対象とされる価値判断が資源配分に対していかなる帰結を生むかを調べることは,依然として〈科学的〉研究の興味ある課題である。バーグソンAbram Bergson(1914‐ )およびP.A.サミュエルソンにより提唱された社会的厚生関数social welfare functionは,このような研究プログラムを形式化した道具概念として導入されたものである。これは各個人への厚生分配の態様に応じて社会的厚生水準を指定する実数値関数であって,その対応規則のうちに分配に関する価値判断が結晶化されているものとされる。…

※「社会的厚生関数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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