社会的必要労働時間(読み)しゃかいてきひつようろうどうじかん(英語表記)socially necessary labor-time
gesellschaftlich notwendige Arbeitszeit[ドイツ]

改訂新版 世界大百科事典 「社会的必要労働時間」の意味・わかりやすい解説

社会的必要労働時間 (しゃかいてきひつようろうどうじかん)
socially necessary labor-time
gesellschaftlich notwendige Arbeitszeit[ドイツ]

商品の価値の大きさを決めるのはその商品の生産に投じられた労働量であるが,マルクス(《資本論》)の主張に従えば,それは価値を規定するものとしては〈社会的に標準的な生産条件と社会的に平均的な熟練および強度をもった〉労働の支出でなければならない。個別的な労働力はそこでは社会的総労働を構成する平均的な人間労働力として,他と同じ社会的な人間労働力として作用し,その限りで価値の大きさを決定する。これが社会的必要労働時間である。

 なお社会的必要労働時間は,市場機構を通じて社会的欲望に適合的に配分される社会的総労働の量によってもその内容を規定され,それはたんに労働量の支出についての技術的条件にとどまるものではない。すなわち,技術的な条件においては正当であっても,市場の〈胃の腑〉(必要量)を超えて支出された労働は社会的には過剰とされるのであり,特定の商品に投じられた労働はただその商品の社会的需要量に合致する限りにおいて,価値を規定しうるものとなる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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