神夏磯媛(読み)かんなつそひめ

朝日日本歴史人物事典 「神夏磯媛」の解説

神夏磯媛

日本書紀』に登場する女性の首長北九州の1国を治めていたが,景行天皇使者が訪れると,賢木に八握剣,八咫鏡,八尺瓊をかけ,白旗を船に掲げて参上し服従を誓った。さらに近在の4人の首長を,朝廷に反逆する者と告げて,天皇の使者に彼らを討たせ筑紫平定に加担した。賢木に神宝をかける儀礼は来臨する神または天皇を迎える際に行われたらしい。降伏するときに白旗を掲げる風習は,中国,朝鮮半島からの伝来とみられ,ほかに『日本書紀』神功皇后,欽明天皇巻,『常陸国風土記』に例がある。この媛は,天皇に帰順したとされるが,実際には,朝廷の威を借りて近隣の敵対勢力を倒した,したたかな女性であったとも解釈できよう。

(寺田恵子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「神夏磯媛」の解説

神夏磯媛 かんなつそひめ

「日本書紀」にみえる豪族
景行天皇の筑紫行幸の途上,周防(すおう)(山口県)から派遣された天皇の使者武諸木(たけもろき)に服属の意をしめし,さらに朝廷に反逆する4人の首長の名をつげた。これをきいて武諸木は4人を殺し,筑紫を平定したという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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