周防(読み)スオウ

デジタル大辞泉 「周防」の意味・読み・例文・類語

すおう〔すはう〕【周防】

旧国名の一。今の山口県東部。防州。すわ。

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精選版 日本国語大辞典 「周防」の意味・読み・例文・類語

すおうすはう【周防】

  1. 山陽道八か国の一つ。大化改新後、六郡で一国となる。鎌倉時代は東大寺の知行国であったが、南北朝時代以後大内氏が守護職となり、山口に城下町を築いた。江戸時代は毛利氏の支配下に置かれ、明治四年(一八七一)の廃藩置県後に長門国を合わせて山口県となる。すほう。すわ。防州。

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日本歴史地名大系 「周防」の解説

周防
すおうなだ

瀬戸内海西部に広がる海域。西端は北九州市門司もじ区門司の潮見しおみ鼻付近で関門海峡と接し、東端は大分県東国東ひがしくにさき姫島ひめしま村の姫島から山口県熊毛くまげ上関かみのせき町のいわい島を結ぶ線で伊予灘と接する。北部は山口県南岸の陸域に、西部から南部にかけては福岡県東部から大分県北部の陸域に囲まれ、東西約九〇キロ・南北約三五キロの瀬戸内海では比較的広い海域である。水深は伊予灘と接する付近で五〇メートル以上に達するが、おおむね三〇メートル未満と浅い。伊予灘から流入する潮流の作用で西海岸には砂泥が堆積し、沿岸にわが国有数の干潟を形成している。平成六年(一九九四)の環境庁自然環境基礎調査では、周防灘西部海岸に現存する干潟面積は有明海に次いで国内第二位となっている。周防灘に面する福岡県の市町村は北九州市門司区・小倉南区、京都みやこ苅田かんだ町、行橋市築上ちくじよう築城ついき町・椎田しいだ町・吉富よしとみ町、豊前市である。この地域の海岸は、北部の門司区の企救きく半島部分では山地が直接海岸に接する磯が比較的広く分布するが、同区の新門司しんもじ付近には大規模な埋立により新門司港が建設された。これより南の小倉南区曾根そね付近から苅田町を経て行橋市蓑島みのしまにかけての海岸は、干拓地や埋立地となっており、干潟は残っているが、自然海岸はほとんど失われている。行橋市沓尾くつおから椎田町高塚たかつかにかけては、航空自衛隊築城基地を除いて低い砂丘からなる自然海岸が残る。椎田町から吉富町にかけては、比較的規模の小さな干拓地や埋立地が連なり、干潟面積は縮小しつつある。

〔古代・中世〕

 周防灘は古代から北九州と畿内を結ぶ海上交通の要路として知られ、一方で国際関係の影響を受けることもあった。天智天皇二年(六六三)八月に日本軍が白村江の戦で敗れたのち、同四年八月に長門ながと城と筑紫つくし大野城(現太宰府市)基肄きい(現大野城市)が築かれた(「日本書紀」同年八月条)。このうち長門城は関門海峡から周防灘に入る現山口県下関市付近に比定されている。天平八年(七三六)遣新羅使に任命された阿倍継麻呂は、難波の御津みつ(難波津)から乗船して瀬戸内海を西下し、熊毛浦(現山口県熊毛郡域に比定)から周防灘に入った。しかし佐婆さば(現同県防府市付近)で逆風にあって豊前国下毛しもげ分間わま(現大分県中津市に比定)に流され、のち筑紫館つくしのむろつみ(のちの鴻臚館、現福岡市中央区)に至っている(以上「万葉集」巻一五)


周防
すおうなだ

「水路志」によると「北は周防・長門、南は豊後・豊前の海岸に由り、東は姫島・祝島に界し、其西界は則ち下之関海峡」とあり、「防長地名淵鑑」も「周防国上関より長門国下関に至る海灘を云ふ」として前説に従っている。したがって、西は関門かんもん海峡でひびき灘に接し、南東は大分県東国東ひがしくにさき郡のひめ島と熊毛くまげ上関かみのせき町のいわい島を結ぶ直線で伊予灘と接するから、上関以東の地域はこれに含めないのが一般的である。しかし名称からみて、初めは周防国の沿海部を総称していたとする説(大日本地名辞書)もある。周防灘は瀬戸内海のうち最も広い水域で、島嶼は沿岸を除いてほとんど認められない。水深は概して浅く、最も深いところでも伊予灘に接する辺りの五〇メートル内外である。潮流も関門海峡付近以外は緩慢で、海水が土砂を運び去らないために底質は泥土である。

周防灘は昔から北九州と畿内を結ぶ海上交通の要路であった。それだけに国際関係の影響を受けることが大きかった。例えば、天智天皇二年に日本軍が白村江の戦に敗れた直後、関門海峡に臨む地に築かれた長門城ながとのき(「日本書紀」天智天皇四年八月条)、またその前後から奈良時代にかけて、新羅に備えて築かれたと考えられている石城いわき(現熊毛郡大和町)山上の山城などによって推察できる。


周防
すおうなだ

瀬戸内海最西部の海域をさし、西端は関門海峡を通ってひびき灘に通じ、東部は山口県いわい島―姫島ひめしま村姫島の線で伊予灘と接する。一般に水深は浅く、伊予灘境の最深部でも五〇メートル内外、潮流も緩やかで、そのため土砂の堆積が著しい。当灘の南東端、姫島と国東くにさき半島との間は姫島水道とよばれ、幅約四キロ、中央の水深約二七メートル、潮流は当灘で最も速く二・四ノットである。国東半島北部の海岸線(国見町熊毛港―豊後高田市高田港)は沈水海岸の特色を示し、リアス海岸となっている。これに続く高田たかだ港―関門海峡間の海岸線は遠浅で、干潮時には広い範囲にわたって干潟が現れる。かつら川・寄藻よりも川・駅館やつかん川・伊呂波いろは川・犬丸いぬまる川・山国やまくに川などの河川が流入し、河口には小さな港湾をつくっているところが多く、宇佐市長洲ながす港・中津市中津港などの港がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

防府市歴史用語集 「周防」の解説

周防

 山口県の県央部から東の旧国名です。古くは「周芳」という漢字を使っていました。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

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