神意裁判(読み)しんいさいばん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神意裁判」の意味・わかりやすい解説

神意裁判
しんいさいばん

神判ともいう。神の示現によって、犯罪の有無、事実の真偽を決する方法。時期により程度の差があれ、神の支配する社会であった上代、および上代法の復活した中世に行われた。上代の神判として有名なのは盟神探湯(くかたち)であり、允恭(いんぎょう)天皇の4年に氏姓(うじかばね)が乱れているのを正すために、甘橿丘(あまかしのおか)の辞禍崎(ことまかへのさき)に探湯瓮(くかべ)を据えて諸人に盟神(くかたち)をさせたことは有名である。また中世では鎌倉時代に、起請文を書いて神社のお堂にお籠(こも)りして、その間に起きた法定の起請の失(たとえば起請文を書いたあと病気になること)が起きるや否やによって、犯罪の有無等を判断する参籠起請(さんろうきしょう)が行われ、室町時代には、盟神探湯の復活ともいうべき湯起請(ゆぎしょう)が行われた。

石井良助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の神意裁判の言及

【裁判】より

…古代メソポタミアでは,裁判官が王の名において下した判決は神聖な力を持ち,それに対する不服従はそれ自体が天罰を招くとされた。一般に,このような神意裁判は,儀礼的手続によって神を呼び出すという観念に基づいていたため,当事者が定まった文言を誤りなく述べなければ敗訴とされる(そのため代弁人が用いられたことが,弁護士の一つの起源とされる)というように,厳格な形式主義に支配されることが多かった。 神意によって法的判断に到達する上述のような超自然的な方法を,M.ウェーバーは形式的で非合理的法思考と呼んだ。…

※「神意裁判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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