日本大百科全書(ニッポニカ) 「参籠起請」の意味・わかりやすい解説
参籠起請
さんろうきしょう
鎌倉時代における証拠方法の一つ。鎌倉幕府法上、証拠方法は、証文、証人、起請文(きしょうもん)という順序があり、その証文、証人のいずれでも証明できない場合に、起請文を用いることが許されたが、これが参籠起請である。ある人の事実に関する主張が真実であるか否かが証文、証人によって判断できない場合に、その者をして主張を起請文に書かせて、一定期間、神社の社殿に参籠させ、その間に失、すなわち起請の失が起こるか否かによって、その言の真否を決めるものである。起請の失は、その主張の不実なことを神が示す徴憑(ちょうひょう)と考えられたものであって、鼻血が出ること、起請文を書いたのち病気になること、ネズミに衣装が食われること、などの8か条が定められていた。
[石井良助]