神統紀(読み)しんとうき(その他表記)Theogonia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神統紀」の意味・わかりやすい解説

神統紀
しんとうき
Theogonia

前8世紀頃のギリシアの詩人ヘシオドス叙事詩。世界の創始と神々の系譜を歌う。この世の初めには混沌としたカオスエロスエレボス (暗闇) とがあった。次に大地ガイアが,ガイアから天空ウラノスが生じ,ウラノスとガイアの結合から生れた巨神ティタンの一族のなかで,クロノスが父の支配をくつがえして世界を支配したが,クロノスの子ゼウスが父を倒してオリンポスの神々の支配権を確立したとする。さらにゼウスの子供たち,神々の子孫,神々と人間の交わりによる英雄の誕生を歌う。ギリシア各地に伝わる神話伝説の矛盾を解いて,これを一つの系譜として整理統合しようと試みた作品。その基本的構想には古代中近東の神話との類似が指摘されている。

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