改訂新版 世界大百科事典 「神衣祭」の意味・わかりやすい解説
神衣祭 (かんみそのまつり)
伊勢神宮恒例大祭の一つで,皇大神宮および荒祭宮に和妙(にぎたえ)(絹),荒妙(あらたえ)(麻)の御衣を奉る祭り。神祇令によれば,孟夏(4月),季秋(9月)の2回行われ,〈此れ神服部(かんはとり)等,斎戒潔清にして,参河の赤引神調(あかひきのかんつぎ)の糸を以て,神衣を織り作り,又麻績連(おみのむらじ)等,麻を績みて敷和衣(うつはたのみそ)を織りて,神明に供す,故に神衣と曰ふ〉(《令義解》)とある。応仁の乱以後,一時廃絶したが,1699年(元禄12)再興され,明治以降は5月と10月の14日に行われている。この祭りの本旨は夏の御衣と冬の御衣を交換することにあり,祭儀のたびに前奉納の神衣を撤下することになっている。また,本祭に付属して神衣奉織始(ほうしよくはじめ)祭,神衣奉織鎮謝祭が行われる。伊勢神宮のほかにも更衣(ころもがえ)祭(賀茂御祖神社,太宰府天満宮など),御衣(おんぞ)祭(熱田神宮,明治神宮など)と称して,この種の祭儀を行う神社は少なくない。厳島神社では御神衣献上式という。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報