日本大百科全書(ニッポニカ) 「神農架」の意味・わかりやすい解説
神農架
しんのうか / シェンノンチヤ
中国中部、湖北(こほく)省西端の林区(県と同格の行政単位)。行政機関は松柏(しょうはく)鎮にある。人口7万9248(2014)。1970年房(ぼう)県、興山(こうざん)、巴東(はとう)の3県の地を割いて設けられた。大巴(だいは)山脈の山間部に位置し、天然林が繁茂し、地下資源が豊富である。生漆(きうるし)、キクラゲ、薬草類のほか、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦、米、豆などを産する。大神農架(3053メートル)は大巴山脈東部の主峰で、原始林が繁茂しキンシコウ(金糸猴)など珍しい動物が生息する。また全身毛に覆われた原人の出没もうわさされる。標高2500メートルを超える位置に神農架空港(2014年開港)がある。
2013年「神農架ジオパーク」として世界ジオパークに認定された。また2016年には、「湖北省の神農架」としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。それに伴い、本林区の観光産業は急速に発展している。
[河野通博・編集部 2017年8月21日]