禁酒党(読み)きんしゅとう[アメリカがっしゅうこく](英語表記)Prohibition Party

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禁酒党」の意味・わかりやすい解説

禁酒党[アメリカ合衆国]
きんしゅとう[アメリカがっしゅうこく]
Prohibition Party

1869年にシカゴで結成されたアメリカの政党。アメリカでは 19世紀なかば頃に禁酒運動が起ったが,まもなく奴隷問題の陰に隠れてしまった。しかし南北戦争後再び活発化し,69年に 20州の代表がシカゴに集り禁酒大会を開催,あわせて禁酒党が結成され,大統領候補を指名,全国的政党となるにいたった。この政党が禁酒を主張したのは,酒が健康に有害であるとともに,政治的腐敗の原因になっていると考えたからである。党の主たる地盤農村プロテスタントにあった。その後党は引続き大統領候補を立てて争ったが,30万票以上を獲得することはなかった。しかしその影響力は強く,多くの州において禁酒立法をかちとるとともに,1920年には憲法修正第 18条によって全国的にアルコール禁止を獲得した。ただしこれは 33年に憲法修正第 21条によって廃止された。しかし党はその後も活動を継続した。

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世界大百科事典(旧版)内の禁酒党の言及

【禁酒運動】より

…【見市 雅俊】
[アメリカ]
 ピューリタニズムの伝統の強いアメリカのニューイングランド地方では早くから酒精飲料に対し社会の風習を損なうといった批判が強く出されていたが,1826年にボストンで禁酒協会が設立され,46年にはメーン州で最初の禁酒法が制定されるなど,禁酒運動は盛り上がりを示した。それに伴い北部の他の地域や西部にも拡大し,56年までに13州で禁酒法の制定をみ,さらに69年には20州からの代表の参加の下にシカゴで禁酒大会が開催され,禁酒党Prohibition Partyを結成,72年の選挙戦では大統領候補をたてるまでになった。こうした活動には女性も積極的に参加したが,禁酒運動は婦人参政権運動その他種々の改革運動とも連帯を図った。…

※「禁酒党」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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