ハドソン湾(読み)ハドソンわん(英語表記)Hudson Bay

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドソン湾」の意味・わかりやすい解説

ハドソン湾
ハドソンわん
Hudson Bay

カナダ北東部の湾。面積 81万9000km2広義にはジェームズ湾,フォックス海峡,フォックスベーズン (湾) ,ハドソン海峡,アンゲーバ湾を含む (面積 124万3200km2) 。平均水深は 100mと浅く,海底はきわめて平坦。湾の西部には粗粒な堆積物が,中央部には泥またはシルト (微砂) が分布する。河川流入塩分は少ない。沿岸部は永久凍土で,水面も 1~5月は流氷に覆われる。1498年ジョバンニ・カボートが発見したといわれ,1610年ヘンリー・ハドソンがアンゲーバ湾岸からジェームズ湾岸までを調査し,1612年トーマス・バトンが東海岸の地図を完成した。西岸部の調査は,1929~31年に行なわれた。近年は年平均 50~60隻の船が出入りし,穀物を積み出している。アメリカインディアンイヌイットエスキモー)が海岸各地に分散して居住する。夏期にはタラサケなどを漁獲する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハドソン湾」の意味・わかりやすい解説

ハドソン湾
はどそんわん
Hudson Bay

カナダ北東部の大きな湾。広義には、狭義のハドソン湾に南のジェームズ湾、北のフォックス海峡、フォックス湾、北東のハドソン海峡、アンガバ湾を含む。面積約124万3200平方キロメートル(狭義では64万7000平方キロメートル)。主要部の水深は40~180メートルであるが、ハドソン海峡付近では870メートルに達する部分がある。フォックス湾、ジェームズ湾では60メートル以下と浅い。湾内の水は河川の流入により塩分が少ない。狭義のハドソン湾のほとんど全域は冬季パックアイス(流氷)に覆われ、海岸沿いに定着氷帯ができる。氷は5月になると融(と)け始め、9月中旬にはなくなる。北のフォックス湾では1年を通じ流氷がみられる。沿岸の地域は、南西にハドソン湾岸低地が広がるほかは、緩やかな起伏をもつ湖の多いカナダ楯状地(たてじょうち)で、南端のジェームズ湾岸は森林ツンドラ、それ以外は低木・地衣ツンドラ地域である。1610年にイギリスのヘンリー・ハドソンにより発見され、この名がつけられ、1670~1869年の200年間はイギリスのハドソン湾会社の支配下にあった。

[大竹一彦]

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