日本大百科全書(ニッポニカ) 「禅源諸詮集都序」の意味・わかりやすい解説
禅源諸詮集都序
ぜんげんしょせんしゅうとじょ
中国の仏教書。二巻。宗密撰(しゅうみつせん)。宗密(780―841)は『禅源諸詮集』100巻を撰したというが、早くより失われ、本書はその総序にあたる。宗密は、禅宗においては法系を捏造(ねつぞう)してまで荷沢(かたく)宗に属することを主張し、華厳(けごん)宗においては澄観(ちょうかん)に次いで第五祖という自覚がある。そこで華厳宗教義を基盤にして、とくに宗密が異常なほどまで宣揚した『円覚経(えんがくきょう)』の立場と、荷沢禅の体験の立場とを近づけて、教禅一致説を展開している。本書はその教禅一致説を体系的に示したものとして、仏教思想史上特筆すべき位置にある。
[鎌田茂雄]
『鎌田茂雄校注『禅源諸詮集都序』(『禅の語録9』1971・筑摩書房)』
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