澄観(読み)ちょうかん

精選版 日本国語大辞典 「澄観」の意味・読み・例文・類語

ちょうかんチョウクヮン【澄観】

  1. 中国、唐代の僧。華厳宗第四祖。尊称は清涼大師・華厳菩薩浙江越州の人。天台や禅をはじめ、諸思想を吸収し、法蔵の華厳教学復興。著に「華厳経疏」六〇巻、「華厳経随疏演義鈔」九〇巻など。(七三八‐八三九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「澄観」の意味・わかりやすい解説

澄観
ちょうかん
(738―839)

中国、唐代の華厳(けごん)宗の僧。浙江(せっこう)省越州山陰に生まれる。中国華厳宗第四祖とされ、清涼大師と称する。俗姓は夏侯(かこう)氏。11歳で出家し、法蔵(ほうぞう)―慧苑(えおん)(673?―743?)―法詵(ほうせん)(718―778)と継承する華厳教学を学んだが、慧苑の教学を異端と判じた。玄壁(げんぺき)、湛然(たんねん)、曇一(どんいつ)(692―771)、惟忠(いちゅう)(705―782)、道欽(どうきん)(715―793)、慧雲(えうん)など、当時の傑出した学僧に学び、律宗、三論宗、天台宗、南北禅宗をも華厳宗のなかに総合化した。776年(太暦11)に、五台山と峨眉山(がびさん)で文殊菩薩(もんじゅぼさつ)と普賢(ふげん)菩薩の2像を感見し、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)を中心とする三聖円融観の華厳信仰を確立したといわれる。五台山の大華厳寺に住し、『華厳経』80巻を注釈した『華厳経疏(しょ)』60巻と、この疏を注釈した『華厳経随疏演義鈔(えんぎしょう)』90巻を著した。この二大著には、法蔵の『華厳経探玄記(たんげんき)』20巻と並ぶ権威が与えられている。

[池田魯參 2017年3月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「澄観」の意味・わかりやすい解説

澄観 (ちょうかん)
Chéng guān
生没年:738-839

中国,唐代中期の僧。華厳宗第4祖。清涼国師とよぶ。姓は侯,浙江省越州の人。杜順や法蔵の華厳学を軸に,広く禅,律,法相,天台,密教を総合して,新しい華厳教学の再興を図る。とくに,杜順の法界観門にもとづく法界玄鏡によって,四法界説を完成する。その事事無碍説は,彼の独創で,順宗の問に答える〈心要〉は,禅宗で重視される。晩年,五台山清涼寺にあり,《新訳八十華厳》と《四十華厳》を注したほか,弟子の宗密がその説をうけて,教禅一致の傾向を深めた。
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百科事典マイペディア 「澄観」の意味・わかりやすい解説

澄観【ちょうかん】

中国,唐代の僧。清涼大師。浙江(せっこう)省越(えつ)州の人。華厳・律・三論・禅・天台の各宗に通じた。特に法蔵(ほうぞう)の華厳教学を重んじ,その正統興し,華厳宗第4祖とされる。般若三蔵らと《華厳経》(40巻本)を翻訳著書に《華厳義疏(ぎしょ)》《随疏演義鈔》などがあり,諸宗融合の傾向を示した。
→関連項目宗密

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「澄観」の意味・わかりやすい解説

澄観
ちょうかん
Cheng-guan

[生]開元26(738)
[没]開成4(839)
中国,唐の僧。華厳宗の第4祖。大統清涼国師ともいう。般若三蔵とともに『新訳華厳経』 (四十華厳) を訳出,著書に『新訳華厳経疏』 (20巻) ,『華厳経疏』 (60巻) など多数がある。

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世界大百科事典(旧版)内の澄観の言及

【五台山】より

…浄土教の曇鸞(どんらん)がここに遊び聖跡に感じて出家した話は有名であるが,大塔院寺等いわゆる台中百ヶ寺の基礎が置かれたのも,このころである。窺基は弟子を率いて福田を行い,澄観は華厳寺で華厳,法華を講義,《華厳経疏》をあらわし,また高麗の慈蔵,北インドの仏陀波利,日本の玄昉(げんぼう)など外国僧の入山も相次いだ。ことに不空三蔵が金閣寺,玉華寺の営構と密教の興隆に尽力してから五台山の名はアジア各地に知られるようになり,日本の霊仙や円仁をはじめ,宋代にも盛算,奝然(ちようねん),成尋(じようじん)など足跡を残した者が多い。…

※「澄観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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