中国、唐代の僧。華厳(けごん)宗第五祖。諡号(しごう)は定慧禅師(じょうえぜんじ)。住持地より圭峰(けいほう)宗密、草堂(そうどう)禅師、圭山(けいざん)大師とよばれる。俗姓は何(か)氏。果州(四川(しせん)省)西充の人。少年時代に儒学を学び、儒教・道教の二教に通じて、『原人論(げんにんろん)』を著した。『円覚経(えんがくきょう)』との出会いにより諸注釈書を著して『円覚経』研究を完成した。また、荷沢神会(かたくじんね)を派祖とする荷沢宗に属することを主張して、禅宗内の北宗、牛頭(ごず)宗、洪州(こうしゅう)宗の区別を明確にし、『禅源諸詮集都序(ぜんげんしょせんしゅうとじょ)』『裴休拾遺問(はいきゅうしゅういもん)』を著した。澄観(ちょうかん)(華厳宗第四祖)に華厳教学を受けて、禅と華厳とを統合して教禅一致説を形成した。
[鎌田茂雄 2017年2月16日]
『鎌田茂雄著『宗密教学の思想史的研究』(1975・東京大学出版会)』
中国,唐代中期の僧。華厳宗第5祖。圭峰宗密,定慧禅師とよばれる。四川の果州の人。姓は何。儒道二教に通じ,遂州道円に参じて仏教に転じ,曹渓の頓宗をうけるとともに,《円覚経》を得て宗旨とし,清涼澄観より華厳を学ぶ。教外別伝の馬祖禅を退け,荷沢神会の説を軸に教と禅との融会を試みる一方,さらに儒仏道三教の体系化にすすみ,宋学の源流とされる。《円覚経》の注釈数種のほか,《原人論》《禅源諸詮集都序》《中華伝心地禅門師資承襲図》の作があり,いずれも,裴休(はいきゆう)が序を書いている。碑文も裴休の作であるが,最近はその内容に疑問をもつ学者がある。
執筆者:柳田 聖山
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…のちに新儒教とよばれる宋学の形成に,禅が影響するのは当然である。唐の圭峯宗密は,かつて中国に行われた禅の歴史と思想を分類して,外道禅,凡夫禅,小乗禅,大乗禅,最上乗禅の五つとする。はじめの三つが初期の禅,大乗禅が天台止観,最後の最上乗禅が,達磨の禅宗である。…
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