稲葉根王子跡(読み)いなばねおうじあと

日本歴史地名大系 「稲葉根王子跡」の解説

稲葉根王子跡
いなばねおうじあと

[現在地名]上富田町岩田

岩田いわた東端いちとの境の富田川と熊野街道中辺路に沿ってあった王子。熊野九十九王子の一つで五体王子。「稲持王子」とも記される(熊野権現金剛蔵王宝殿造功日記)。県指定史跡。「中右記」天仁二年(一一〇九)一〇月二二日条に「伊奈波禰王子社」とみえる。「後鳥羽院熊野御幸記」建仁元年(一二〇一)一〇月一三日条に「次稲葉根王子此王子准五体王子、毎事過差云々、御幸之儀同五体王子云々、次入昼養宿所、馬自御所停預置師、自是歩指渡石田河」とあり、准五体王子とされている。「石田河」は富田川のこと。本地は稲荷神で、正中三年(一三二六)以前の成立とされる熊野縁起(写、仁和寺蔵)の御本地顕現人々交名事条に「稲羽金剛童子稲荷形也」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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