空也蒸し(読み)くうやむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「空也蒸し」の意味・わかりやすい解説

空也蒸し
くうやむし

豆腐料理の一種空也豆腐ともいう。豆腐を3センチメートル角に切り、茶碗(ちゃわん)蒸しの器か蓋(ふた)付きの器に入れる。卵を割り、だし汁を卵の3倍量加えてよくかき混ぜ、豆腐の入った器に7~8割注いで、蒸し器に入れて蒸し、上に葛(くず)あんをかけて、蓋をしたまま供する。熱いうちに食べるものである。これに貝柱、鶏(とり)のそぼろなどを加えることもある。空也は平安中期の高僧で、念仏踊を創始し、半僧半俗で仏道を修行することを唱導した。空也念仏講に属するある僧が創案したというので、空也豆腐の名がつけられたという。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の空也蒸しの言及

【蒸物】より

… 現在の日本料理でよくつくられる蒸物は,卵汁を用いるものと魚貝類を主材料とするものがほとんどである。前者の代表的なものは茶わん蒸しで,これにうどんを入れたおだまき蒸し,豆腐を加え,葛(くず)あんをかける空也(くうや)蒸しなどのほか,卵汁だけでつくる卵豆腐といったものもある()。魚貝類を使うものでは,ふたのある鉢を用いるちり蒸し,かぶら蒸し,そば蒸しなどのほか,塩蒸し,酒蒸しがある。…

※「空也蒸し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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