貝柱(読み)カイバシラ

デジタル大辞泉 「貝柱」の意味・読み・例文・類語

かい‐ばしら〔かひ‐〕【貝柱】

二枚貝貝殻内側について、殻を開閉する筋肉。ふつう前後に二つある。閉殻筋肉柱にくちゅう
ホタテガイタイラガイなどの大きな筋肉柱。ゆでて干し中国料理に、生ですし種や酢の物、またバター焼きなどにして賞味する。

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精選版 日本国語大辞典 「貝柱」の意味・読み・例文・類語

かい‐ばしらかひ‥【貝柱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 二枚貝の両殻を閉じる働きをする閉殻筋の俗称前方後方に二個ある場合が多い。肉柱(にくちゅう)。かいのはしら。貝の星。〔生物学語彙(1884)〕
  3. イタヤガイ、ホタテガイなどの肉柱を煮て乾燥した食品。はしら。〔東京大正博覧会出品之精華(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「貝柱」の意味・わかりやすい解説

貝柱 (かいばしら)

二枚貝の殻を開閉する筋肉。たんに〈柱〉ともいい,タイラギ(タイラガイ),ホタテガイ,イタヤガイ,バカガイなどのものが美味である。タイラギのそれは最も大型で関東以南の市場で柱といえば,おおむねこれを指す。バカガイのそれは小型で小柱と俗称する。刺身,酢の物,あえ物,すし種など生食を主とするが,ホタテガイやイタヤガイのものはフライ,バター焼き,焼物煮物に,小柱はかき揚げにもよい。

 タイラギの柱は加熱によりかたくしまるのでもっぱら生食とする。干し貝柱はホタテガイ,イタヤガイ,江珧(チアンヤオ)(タイラギの類で中国産)などの柱の煮干し品で,身割れ少なく黄白色で十分に乾燥しているものが良品で,中国料理の煮物やスープなどに用いる。江珧柱は干し貝柱中の逸品である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貝柱」の意味・わかりやすい解説

貝柱
かいばしら

二枚貝の貝殻を閉じるのに使う筋肉柱をいう。アサリ、ハマグリ、バカガイなどは2個。ホタテガイ、タイラギなどは殻の中央に大きなものが1個ある。バカガイの貝柱は小さいが、小柱などとよばれ、酢の物、和(あ)え物、すし種(だね)、かき揚げなどにして喜ばれる。ホタテガイの貝柱は生(なま)または煮熟したものが売られている。生は刺身、酢の物、てんぷら、フライなどに向き、煮熟したものはバター焼き、チャウダーなどに向く。タイラギは平貝の名で売られ、刺身やフライにしてうまい。貝柱はどれもうまいが、これはベタイン類やコハク酸などに富むためとされている。ホタテガイの貝柱からは煮干し品がつくられ、中華料理に使われる。この作り方は沸騰海水中にホタテガイを入れ、口をあけさせ、肉を取り出す。これから貝柱だけを分け、さらに煮熟し、焙乾(ばいかん)と日干しを繰り返す。干し上がったものは白乾(しらぼし)とよばれる。淡褐色で固く締まったものが良品。外套膜(がいとうまく)や内臓をつけたまま干したものは黒乾という。ホタテガイ以外の貝柱からも多少煮干しがつくられる。いずれもうまく、中華料理その他に使われる。

[金田尚志]

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百科事典マイペディア 「貝柱」の意味・わかりやすい解説

貝柱【かいばしら】

二枚貝の貝殻を開閉する筋肉。1〜2個あり,横紋筋部で閉じ平滑筋部で引き寄せ強直状態を保つ。食材としてはたんに〈柱〉とも呼ばれる。ホタテガイ,バカガイ,タイラギ(平貝),イタヤガイなどのものは美味で,刺身,てんぷら,コキールなどにされる。また煮たものを乾燥し干貝柱とし,中国料理などに用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貝柱」の意味・わかりやすい解説

貝柱
かいばしら
adductor muscle

軟体動物二枚貝類に発達する,2枚の殻を閉じるための筋肉の俗称で,殻内面に付着していて,収縮により殻を閉じる。閉介筋,閉殻筋,肉柱ともいう。通常前後に1対。大きく発達したものは食用に賞用される。殻を打合せて泳ぐホタテガイ類では大きな後閉介筋だけが中央に残る。

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栄養・生化学辞典 「貝柱」の解説

貝柱

 二枚貝の閉殻筋.ホタテガイ,バカガイなどではよく発達していて食用にする.また乾燥品も好まれる.

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世界大百科事典(旧版)内の貝柱の言及

【等張力性収縮】より

…骨格筋が等尺性強縮中に発生する張力は,筋肉が生体内にあるときの長さ(生体長)のとき最大で,筋肉がこれより長くなっても短くなっても減少する。筋肉の最大等尺性収縮張力は筋肉の断面積に比例し,ヒトの骨格筋で1cm2あたり約5kgであるが,二枚貝の殻の開閉にあずかる貝柱の筋肉は1cm2あたり10kg以上の大きな張力を発生する。昆虫類の骨格筋の単位断面積あたり張力はヒトよりも小さいが,昆虫は一般にその体に比して運動能力がすぐれており,たとえばノミはその体の何十倍もの高さに跳躍する。…

※「貝柱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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