二枚貝の殻を開閉する筋肉。たんに〈柱〉ともいい,タイラギ(タイラガイ),ホタテガイ,イタヤガイ,バカガイなどのものが美味である。タイラギのそれは最も大型で関東以南の市場で柱といえば,おおむねこれを指す。バカガイのそれは小型で小柱と俗称する。刺身,酢の物,あえ物,すし種など生食を主とするが,ホタテガイやイタヤガイのものはフライ,バター焼き,焼物,煮物に,小柱はかき揚げにもよい。
タイラギの柱は加熱によりかたくしまるのでもっぱら生食とする。干し貝柱はホタテガイ,イタヤガイ,江珧(チアンヤオ)(タイラギの類で中国産)などの柱の煮干し品で,身割れ少なく黄白色で十分に乾燥しているものが良品で,中国料理の煮物やスープなどに用いる。江珧柱は干し貝柱中の逸品である。
執筆者:平野 雄一郎
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二枚貝の貝殻を閉じるのに使う筋肉柱をいう。アサリ、ハマグリ、バカガイなどは2個。ホタテガイ、タイラギなどは殻の中央に大きなものが1個ある。バカガイの貝柱は小さいが、小柱などとよばれ、酢の物、和(あ)え物、すし種(だね)、かき揚げなどにして喜ばれる。ホタテガイの貝柱は生(なま)または煮熟したものが売られている。生は刺身、酢の物、てんぷら、フライなどに向き、煮熟したものはバター焼き、チャウダーなどに向く。タイラギは平貝の名で売られ、刺身やフライにしてうまい。貝柱はどれもうまいが、これはベタイン類やコハク酸などに富むためとされている。ホタテガイの貝柱からは煮干し品がつくられ、中華料理に使われる。この作り方は沸騰海水中にホタテガイを入れ、口をあけさせ、肉を取り出す。これから貝柱だけを分け、さらに煮熟し、焙乾(ばいかん)と日干しを繰り返す。干し上がったものは白乾(しらぼし)とよばれる。淡褐色で固く締まったものが良品。外套膜(がいとうまく)や内臓をつけたまま干したものは黒乾という。ホタテガイ以外の貝柱からも多少煮干しがつくられる。いずれもうまく、中華料理その他に使われる。
[金田尚志]
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…骨格筋が等尺性強縮中に発生する張力は,筋肉が生体内にあるときの長さ(生体長)のとき最大で,筋肉がこれより長くなっても短くなっても減少する。筋肉の最大等尺性収縮張力は筋肉の断面積に比例し,ヒトの骨格筋で1cm2あたり約5kgであるが,二枚貝の殻の開閉にあずかる貝柱の筋肉は1cm2あたり10kg以上の大きな張力を発生する。昆虫類の骨格筋の単位断面積あたり張力はヒトよりも小さいが,昆虫は一般にその体に比して運動能力がすぐれており,たとえばノミはその体の何十倍もの高さに跳躍する。…
※「貝柱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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