空母ジョージ・ワシントン(読み)くうぼじょーじわしんとん

知恵蔵 の解説

空母ジョージ・ワシントン

神奈川県横須賀母港としている米空母キティ・ホークは1961年の完成で、すでに艦齢45年。2008年夏には退役予定で、交代に原子力空母ジョージワシントン配備が決まっている。米海軍は現在、原子力推進の空母10隻、通常推進空母2隻を持つ。通常推進のJ・F・ケネディはキティ・ホークの7年後に完成したが、途中の近代化、寿命延長工事が不十分で、大改修の予算がつかず早期退役する。米海軍としては横須賀に空母を置くなら原子力空母しかない。ジョージ・ワシントンは92年完成で満載排水量10万2000t、戦闘・攻撃機48機など約70機を搭載する点はキティ・ホークと同じ、乗員約5750人。自艦の燃料がいらないため航空燃料弾薬を多く積め、16日間航空攻撃を続行できる。原子炉2基で28万馬力(209メガワット)であるから小ぶりの原子力発電所並みの出力で、これが市街地の近くに常駐することに市民の不安感がある。だが米海軍の原子力推進艦は従来、入港中は原子炉を停止し、陸上の電気ケーブルを引いて生活し、原子炉も電気で保温して劣化を防いでいる。米本国の海軍基地でも市街地のすぐ側に原子力艦が係留されており、米海軍は危険はないとする。ただ出入港時の衝突などの大事故があれば海水が汚染される可能性ゼロとは言い切れない。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報