立花図屏風(読み)りっかずびょうぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「立花図屏風」の意味・わかりやすい解説

立花図屏風
りっかずびょうぶ

立花図が貼(は)られた屏風で、六曲一双の各扇に3枚ずつ計36枚の花図がある。東京国立博物館蔵。筆者ならびに制作年代不詳。もと京都御所にあった御物。1枚に1瓶ずつ、大和絵(やまとえ)の技法によって繊細に描写され、おのおのの立花様式を正確に表現した作品図である。そのなかに陽明(ようめい)文庫や曼殊院(まんしゅいん)所蔵の作品と同じものが発見され、これによって立花の制作年月日や、場所、作者の判明するものが27図、うち26図は2代目池坊専好(いけのぼうせんこう)の作品であり、あと1図は後水尾(ごみずのお)上皇の作品、さらに不明の9図も2代目専好の立花と推定されるに至った。年代は後水尾院を中心に宮廷立花が隆盛を極めた、1628年(寛永5)から35年に及ぶ。花を立てた場所は禁裏小御所(きんりこごしょ)、仙洞院(せんとういん)御所、曼殊院、八条宮、近衛信尋(このえのぶひろ)邸などで、江戸初期2代目専好を指導者とする宮廷立花の盛況を伝えるとともに、専好立花の作品を理解するうえにも貴重な資料となっている。

[北條明直]

『西山松之助注『立花図屏風』(『日本思想大系61 近世芸道論』所収・1972・岩波書店)』


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