日本大百科全書(ニッポニカ) 「笑気麻酔」の意味・わかりやすい解説
笑気麻酔
しょうきますい
全身麻酔の方法の一つ。笑気は別名亜酸化窒素(一酸化二窒素)とよばれ、無色無臭のガスである。通常は、ボンベの中で圧縮されて液体の状態で蓄えられている。使用する場合は酸素と混合したものを吸入させるが、30~50%で鎮痛作用をおこす。かつては笑気麻酔が吸入鎮痛薬として無痛分娩(ぶんべん)や救急車の疼痛(とうつう)患者運搬時に用いられていたが、現在は歯科治療の際に行われている程度である。
笑気のみで全身麻酔作用を得るためには濃度を80%以上に上げなければならないが、これでは酸素の濃度は空気よりも薄くなるので危険を伴う。このため、笑気は他の吸入麻酔薬や静脈麻酔薬と併用されることが多い。併用すれば酸素も十分に与えられ、しかも、笑気の鎮痛作用を生かすことができるからである。ニューロレプト麻酔もそのよい例である。
[山村秀夫・山田芳嗣]
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