全身麻酔(読み)ゼンシンマスイ

デジタル大辞泉 「全身麻酔」の意味・読み・例文・類語

ぜんしん‐ますい【全身麻酔】

中枢神経系麻痺まひさせて、全身知覚意識を失わせること。吸入麻酔を用いるか、または麻酔薬を静脈内や筋肉に注射する。→局所麻酔

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精選版 日本国語大辞典 「全身麻酔」の意味・読み・例文・類語

ぜんしん‐ますい【全身麻酔】

  1. 〘 名詞 〙 からだ全体に麻酔をかけること。麻酔薬を吸入または注射して、全身の知覚を一時休止させる。手術のとき、苦痛を除き、抵抗をなくすために行なう。⇔局部麻酔
    1. [初出の実例]「その時お母さんは全身麻酔にかかっていたので」(出典:跛の小蠅(1954)〈中本たか子〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「全身麻酔」の意味・わかりやすい解説

全身麻酔
ぜんしんますい

麻酔薬を中枢神経に作用させて、その機能を可逆的に麻痺(まひ)させることによって麻酔効果を得る方法である。麻酔効果というのは意識の消失、無痛、反射の減弱、筋の弛緩(しかん)などをさしている。このような効果は、昔は単一の麻酔薬を多量に用いて、麻酔を深くすることで得ていたが、現在ではそれぞれの作用をもつ薬をいくつか少量ずつ組み合わせて、結果として深い麻酔を行う方法がとられている。これをバランス麻酔といっている。

 全身麻酔の種類としては、麻酔薬の投与経路によって、吸入麻酔、静脈麻酔直腸麻酔、筋肉内麻酔などがあるが、麻酔の深さの調節性の大きい前二者が広く用いられている。つまり、バランス麻酔の目的で、静脈麻酔で患者を気持ちよく眠らせたあと、吸入麻酔によって麻酔の深度を調節し、無痛や反射の減弱をおこし、筋弛緩薬静脈注射により筋の弛緩を得るという方法である。吸入麻酔薬をまったく使わずに、短時間作用性の静脈麻酔薬と麻薬性鎮痛薬の持続注入を用いる全静脈麻酔もよく行われる。

 全身麻酔の特徴としては、効果が確実で、あらゆる部位の手術が可能であること、麻酔時間や麻酔の深さが自由に加減できること、患者に苦痛がないこと、積極的に人工呼吸をすることができること(調節呼吸という)など多くのものがある。しかし、麻酔中の患者には意識がなく、防御的な反射も失われるので、麻酔を行う医師が絶えず患者の安全のために気を配り、十分な全身管理をすることが要求される。麻酔薬の中枢神経に作用する機序(メカニズム)については、現在なお完全には解明されていない。

[山村秀夫・山田芳嗣]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「全身麻酔」の意味・わかりやすい解説

全身麻酔
ぜんしんますい

麻酔」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の全身麻酔の言及

【吸入麻酔】より

…麻酔薬を呼吸により肺から摂取する麻酔で,全身麻酔の一つ。呼吸により肺胞に達した麻酔薬(吸入麻酔薬)は,物理的に肺胞から肺毛細血管を流れる血液に拡散し,血液に溶解する。…

【麻酔】より

…薬の作用により体の一部あるいは全身の知覚と運動機能を一時的に消失させ,手術のような体に侵害を加える際の痛みや精神的苦痛を取り除くことをいう。薬の作用が局所に限られるものを局所麻酔と呼び,全身的に作用するものを全身麻酔と呼ぶ。全身麻酔は通常意識消失を伴う。…

※「全身麻酔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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