笑気または一酸化二窒素ともよばれる全身麻酔剤(吸入麻酔)である。室温、大気圧下では無色のガスで、においはない。このガスの吸入によって顔面の筋肉がけいれんして笑っているようにみえるところから笑気と名づけられた。1799年イギリスの化学者H・デービーによって麻酔作用が認められ、アメリカの歯科医H・ウェルズが1844年に笑気麻酔による手術(自分自身の親知らずの抜歯)に初めて成功した。歯科治療や分娩第一期の鎮痛の目的で単独で用いられるほか、外科手術ではエンフルラン、ハロタンなどの全身麻酔剤の補助薬として、通常30%の酸素濃度を保ち、亜酸化窒素濃度は70%以下で使用される。歯科用には亜酸化窒素30%、酸素70%のものが、産科用では亜酸化窒素50%、酸素50%の混合ガスが市販されている。
[幸保文治]
『Jan A. Baum著、上村明・宮部雅幸・渡辺誠治・豊岡秀訓監訳『低流量麻酔』(2002・メディカル・サイエンス・インターナショナル)』▽『外須美夫編『吸入麻酔――薬理から使用法まで』(2003・真興交易医書出版部)』▽『医療機器センター編『医療ガス保安管理ハンドブック』改訂版(2003・ぎょうせい)』
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一酸化二窒素N2Oの別名。笑気とも呼ばれ,吸入麻酔薬として用いられる。
→酸化窒素
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[同義異語]一酸化二窒素
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[一酸化二窒素dinitrogen monooxide]
化学式N2O。酸化二窒素,亜酸化窒素(俗称)とも呼ばれる。硝酸アンモニウムを熱分解するとたやすく生成する。…
※「亜酸化窒素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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