朝日日本歴史人物事典 「笠麻呂」の解説
笠麻呂
奈良時代の官人で僧侶,万葉歌人。官人としても有能であったらしく,慶雲3(706)年から養老3(719)年まで美濃守として活躍した。和銅2(709)年その成績を政府からほめられ,田7町,穀200斛,衣1襲を支給された。さらに同7年,吉蘇(木曾)道を開通させた功績によって,封戸70戸,田6町を支給された。霊亀3(717)年には按察使に任命され,尾張,参河(愛知県),信濃(長野県)を管理した。養老4年右大弁に任命され中央官界へもどった。翌年に元明太上天皇の病気を理由に出家入道を許され満誓と号する。養老9年大宰府に赴任し大伴旅人らと共に筑紫歌壇を構成し,「世間を何に譬へむ朝びらき漕ぎ去にし船の跡なきがごと」など7首の歌を『万葉集』に残している。
(鬼頭清明)
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