笹・篠(読み)ささ

精選版 日本国語大辞典 「笹・篠」の意味・読み・例文・類語

ささ【笹・篠】

〘名〙
① イネ科のタケ属で小形のものの総称。一稔性植物で、高さ〇・二~〇・六メートル。根茎は地中を横にはう。稈(かん)は細長い中空の円柱形で節がある。葉は先のとがった狭長楕円形で基部は鞘(さや)となって稈を包む。タケに対してふつう稈がのびきるまで竹の子の皮が落ちない。稈はパルプにしたり種々の家具や器具をつくったりする。葉は防腐作用があり、粽(ちまき)や鮨(すし)、和菓子を包むのに用いる。東アジア、特に日本には、各地に広く分布し、クマザサチシマザサチマキザサミヤコザサなど種類も多く、しばしば観賞用に庭に植えられる。笹草。
※古事記(712)上「天の香山小竹葉を手草に結ひて〈小竹を訓(よ)みて佐佐(ササ)と云ふ〉」
② (酒) (中国で酒を竹葉と呼んだところから。また「さけ」の「さ」を重ねたものともいう) 酒をいう女房詞
※虎明本狂言・比丘貞(室町末‐近世初)「比おりやうが所へは、はうはうからささをたくさんにたもるに」
③ 紋所の名。竹の葉や枝などをかたどったもの。三枚笹、九枚笹、根笹、雪持根笹、笹に雀、上杉笹、宇和島笹、仙台笹、鳥居笹、山口笹などの種類がある。
能楽演劇手道具一つで、狂女の持って出る笹。狂い笹。また、宮廷神楽で用いた篠(ささ)採物(とりもの)
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一九「気ちかひは絵にかく時は笹をもち」

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