篇突(読み)へんつき

改訂新版 世界大百科事典 「篇突」の意味・わかりやすい解説

篇突 (へんつき)

俳諧論書。李由・許六(きよりく)共編著。1698年(元禄11)刊。序によれば,当時の俳諧宗匠の暗愚を憂えて成した書という。問題のある季語を取りあげ,例句を掲げて見解を述べ,また,〈賀〉〈挨拶〉などの格式,〈発句評錬の弁〉のような作法などを28項目にまとめ,追加に編著者の俳文を1編ずつ載せる。書名は,漢字の旁(つくり)に偏をつぎ競う中古の文字遊戯による。去来は《旅寝論》を書いて本書を批判したが,未刊に終わった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の篇突の言及

【旅寝論】より

…1699年(元禄12)3月自序。郷里長崎に滞在中,送られて来た新刊の俳論書《篇突(へんつき)》の許六所説について,一族の卯七・魯町らの質疑に答えた論難の書。1761年(宝暦11)末,桃鏡序・蓼太跋を付して,江戸の戸倉屋利兵衛から《去来湖東問答》の名で刊行。…

※「篇突」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android