格式(読み)カクシキ

デジタル大辞泉 「格式」の意味・読み・例文・類語

かく‐しき【格式】

身分・家柄などによって定まっている礼儀や作法。また、身分や家柄。「格式を重んじる」「格式のある家」
きゃくしき(格式)1
[類語]名分正格公式正則正統正調本式本格的正規正式格調品格品位風格おおやけ公的正しい本物儀礼礼法礼式礼儀風儀作法よそ行き格式張る折り目正しいフォーマル本格本筋まっとう正道本道本流主流中正至当合理的合法的押しも押されもせぬれっきとちゃんとまとも道理道理至極腰を入れる本腰本腰を入れるレギュラーオーソドックスプロパー

きゃく‐しき【格式】

律令を補足・修正するための法令。きゃくと式。かくしき。「弘仁格式」→きゃく
かくしき(格式)1

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共同通信ニュース用語解説 「格式」の解説

格式

律令を補足するための法令集。格は律令を部分的に修正、追加するもので、式は施行細則。嵯峨天皇時代に編纂へんさんされた「弘仁格式」、清和天皇の「貞観格式」、醍醐天皇の「延喜格式」を三代格式という。

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精選版 日本国語大辞典 「格式」の意味・読み・例文・類語

かく‐しき【格式】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 格と式。きまり。規則。→きゃくしき。〔北史‐蘇威伝〕
  3. 身分や家柄によって公に決められていた儀式やきまり。
    1. [初出の実例]「すべては礼義をしらず、格式(カクシキ)を弁(わきま)へざるは云かひなし」(出典:米沢本沙石集(1283)一〇末)
    2. 「固より王家の許允(きょいん)は唯礼典に供するのみにて其有名無実なるは万人の知る所なれども其格式を変ずること能はず」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉外)
  4. 身分や家柄。地位や資格。
    1. [初出の実例]「夫狂言者、建格式於舞曲之外、寓実理於戯言之中、但需笑、誇目者、此芸之害也」(出典:わらんべ草(1660)一)
    2. 「高田家の方が私の家よりも、少し格式が高かったさうである」(出典:刑余の叔父(1908)〈石川啄木〉二)
  5. 和歌、文章などの作法上のきまり。
    1. [初出の実例]「さればまことの道に入れる歌人は、格式のほかの事おほかるべし」(出典:ささめごと(1463‐64頃)下)

格式の語誌

( 1 )カクは「格」の漢音、シキは「式」の呉音よみ。鎌倉時代以降、「格」「式」それぞれの常用字音が選択された結果生じたものと考えられる。
( 2 )本来は定められたきまりを表わす語であるが、特に身分や家柄に関するきまりをいうところから、近世以降、封建社会において制度により定められた(あるいは慣習により付随する)家柄や身分などの資格を表わす用法が生じた。この意味での格式は、「高い━低い」と表現され、これによって頭髪服装などの風俗が異なり、席次や準拠すべき礼式が決まった。


きゃく‐しき【格式】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きゃく」は「格」の呉音 )
  2. (きゃく)と式(しき)。律令の補助法令。「格」は、臨時に律令の改正・補充をした単行法令。また、それを編纂したもの。「式」は、律令の施行細則で、諸官庁の事務規定とされたもの。かくしき。
    1. [初出の実例]「准量格式。合公験」(出典:続日本紀‐神亀元年(724)一〇月丁亥)
    2. 「灸治、あまた所になりぬれば、神事に穢(けがれ)ありといふこと、〈略〉格式等にも見えずとぞ」(出典:徒然草(1331頃)一四七)
  3. かくしき(格式)

格式の補助注記

刑罰法である「律」、教令法である「令」とあわせ「律令格式」の語によって、成文法の体系をいう。日本での律令格式の編纂は、中国の律令法を模して行なわれた。→「かくしき(格式)」の語誌

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「格式」の意味・わかりやすい解説

格式
きゃくしき

古代法制の一つ。中国に起源をもち,「律」「令」と相まって体系をなす。「格」は律令の補充法で,「事の旨のやや大なる」もの,「式」は施行細則で,「事の旨のやや小なる」ものをいう。ともに詔勅または太政官符の形式で必要に応じて臨時に制定された。「格」は,(1) 『弘仁格』 (→弘仁格式 ) は大宝1 (701) ~弘仁 10 (819) 年を収録。 (2) 『貞観格』 (→貞観格式 ) は弘仁 11 (820) ~貞観 10 (868) 年を収録。 (3) 『延喜格』は貞観 11 (869) ~延喜7 (907) 年を収録,の3回にわたり編集事業が行われた。さらに 10~11世紀にかけて,これら (1) ~ (3) の3代の格を部門別に類聚した『類聚三代格』が編纂され,世に珍重された。「格」編集の特色は,太政官符などの法令をほとんど原形のままに収録した点があげられる。「式」は実務の運用上,「令」と密接な関係にあるはずであったが,その整備は遅れがちであり,当初は「例」「別記」と称する諸官庁の慣行例を整備して行政上の実用に供した。「格」とともに弘仁,貞観2代の「式」が編纂されたが,いずれもその編集は遅れがちであった。次いで延長5 (927) 年藤原忠平らは醍醐天皇の勅を受けて,弘仁,貞観の2式を集大成した『延喜式』を撰進した。しかし前法との調整のため,施行されたのは康保4 (967) 年であった。「式」編集の特色は,諸法令の原形はとどめず,その結論だけを個条書にまとめた点にある。このほかに,各官庁ごとに規定した「諸司式」地方官の交代に関する「交替式」 (→延喜交替式 , 延暦交替式 , 貞観交替式 ) ,公家の年中行事に関する「儀式」 (→新儀式 ) もあった。

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普及版 字通 「格式」の読み・字形・画数・意味

【格式】かくしき・きやくしき

法式。規則。〔旧唐書、刑法志〕開元格十卷、~開元後格十卷、~皆書省二十四司を以て目と爲す。て式三十。亦た書省列曹~を以て其の目に名づけ、二十卷と爲す。

字通「格」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「格式」の意味・わかりやすい解説

格式【きゃくしき】

律令(りつりょう)とならぶ古代の成文法。格は律令の規定を部分的に修正した単行法令,式は律令および格の施行細則。ともに詔勅・官符(かんぷ)などの形式で必要に応じて発布され,後に分類・集成された。9世紀初め―10世紀初めに弘仁(こうにん)・貞観(じょうがん)・延喜(えんぎ)の三代格式が成立。そのうちの格は《類聚(るいじゅう)三代格》として,式は《延喜式》が伝存する。
→関連項目延喜・天暦の治政事要略律令格式

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「格式」の意味・わかりやすい解説

格式
きゃくしき

格は律令(りつりょう)を改訂増補するための追加法令。式は律令および格の施行細則。弘仁(こうにん)・貞観(じょうがん)・延喜(えんぎ)の各格・式がある。平安初期から院政期に至る律令制の解体期を格式時代とよぶこともある。

[編集部]

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旺文社日本史事典 三訂版 「格式」の解説

格式
きゃくしき

律令の補助法規,格は律令の改正・追加法令,式は律令と格の施行細則
詔勅や太政官符の形式で発布。たとえば,ふつう墾田永年私財法といわれている法令は743(天平15)年に格として出されたものである。格式を集成したものに,『弘仁格式』『貞観 (じようがん) 格式』『延喜格式』があり,これらを総称して三代格式という。また,この三代格を集成分類した『類聚三代格』は重要な史料集である。

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改訂新版 世界大百科事典 「格式」の意味・わかりやすい解説

格式 (きゃくしき)

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世界大百科事典(旧版)内の格式の言及

【大名】より

… また領国や居城の規模によって,国主(国持),准国主,城主,城主格,無城に分け,あるいは江戸城中の詰間(つめのま)によって,大廊下,溜間(たまりのま),大広間,帝鑑間(ていかんのま),柳間,雁間(かりのま),菊間に分け,さらに官位によって,侍従以上,四品(しほん)(四位),諸大夫(五位)に分け,石高によって,10万石以上,5万石以上,1万石以上に分ける場合もある。大名はこれらの組合せによって複雑多岐な格式序列がつくられたが,このことは大名(藩)の存在形態がきわめて多様であったことを示している。大名の数は,初期3代の将軍による強力な大名統制によって,その数も安定しなかったが,その後しだいに固定し,中期以降には260家前後となった。…

【律令格式】より


【中国】
 律・令・格・式なる4種の法典は歴代の政府が発布した六法全書のごときもので,古くは戦国時代に淵源し,唐代に至って最も完備されたが,宋以後変化が起こり,あるいはその重要性を失って新出の法典に座を譲り,あるいは形式名称を変えて旧面目を失うものが多いなかに,ただ律は明代に復興して大明律となり,さらに大清律となって清朝末期にいたった。 現今目睹しうる最古の刑法である律は秦律であり,1975年湖北省雲夢県の睡虎地で秦代の墓から1000余枚の竹簡を発見した中に,占卜書2種を除くほかはおおむね政治,法律に関する文書であり,数種類の秦律が含まれていることがわかった(睡虎地秦墓)。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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