さ‐ほう【作法】
〘名〙
[一] (:ハフ)
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「舞ひ人、
陪従、例のさほうなれば、いといかめしうて」
※九暦‐九暦抄・天暦三年(949)二月一一日「庁間作法無レ外者、至二朝膳所一、先著二納言座一」
③ 正式のこと。定式にかなったもの。
しきたり。きまり。
慣例。さだめ。
※
蜻蛉(974頃)中「その月、みたるばかりのほどにて、年はこえにけり。そのほどのさほう、れいのごとなれば、しるさず」
※
今昔(1120頃か)一三「世の作法を見て、
吉凶を相
(さう)するに、不当ずと云ふ事无し」
※観智院本三宝絵(984)下「山しな寺の
維摩会の作法を
儀式にはうつせり」
さく‐ほう ‥ハフ【作法】
〘名〙
① 物の
作り方。物を作る方法。また、所作の方法。仕方。さほう。
※
小説作法(1909)〈
田山花袋〉一「小説に作法
(サクハフ)などと謂ふことは無い。苟くも作法らしいものが
頭脳に出来て来れば、もう其小説は型に入って居る」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「作法」の意味・読み・例文・類語
さく‐ほう〔‐ハフ〕【作法】
物の作り方。さほう。「小説の作法」
[補説]現代では多く「さほう」という。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
普及版 字通
「作法」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
作法
さほう
作法(さくほう)と読んだ場合は、詩歌・文章の作り方、つまり、ものの仕方や所作の方法をいう。作法(さほう)は日常生活における「立ち居ふるまい」の法式、行儀作法をさすが、現在ではともに作法(さほう)とよんで、両者を兼ねた意味に用いる例も多い。われわれの社会生活は、ある程度共通した思想・感情・意志などをもって営まれるが、意志を他人に向かって表現するとき、「ことば遣い」となり「作法」となって現れる。このことば、動作、立ち居ふるまいの基準となるものが「作法」である。社会生活のうえに欠くことのできない生活規範であり、社交のうえで円滑となる態度を示すものである。なお、仏教でいう作法とは、葬礼・授戒・仏事などの儀式をいう。
[石川朝子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
さほう【作法】
人間の社会生活にかかわる多くの慣習やしきたりのうち,ふつうとくに起居動作,言語,身なりなどに関する正しいとされる方式を作法と呼ぶ。日常生活の作法はおおむね習慣化されており,破られてはじめて気になるような非意識的な形式である。そして破られた場合にも,その制裁は法的規範の場合とはちがって,せいぜい交際仲間からのけものにされるという間接的な社会排除にとどまる。また,ある社会では3本指で食べるのが作法であるのに,ほかではフォークで,あるいははしで食事するのが決りであるといったように,作法の形式はたいてい,そうでなければならないという合理的根拠を欠いていて,一部の社会階級が好んで始めたものを,ほかの階級もとり入れることによってしきたりとなったものが多い。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
作法【さほう】
言語動作,起居振舞などの規準。一般に礼儀と併称して礼儀作法とも。日本では中国文化の渡来後,聖徳太子の憲法十七条で礼が政治の中心におかれ,この精神がのち武家礼法に受け継がれた。江戸時代には儒教と結びついて発展,やがて民間にも反映し,しつけと表裏して近世・近代の国民生活に定着。武家礼法は小笠原流のほか,伊勢,今川その他が流派を立てた。第2次大戦後エチケットの語も一般化。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報