粟野春慶塗(読み)あわのしゅんけいぬり

事典 日本の地域ブランド・名産品 「粟野春慶塗」の解説

粟野春慶塗[漆工]
あわのしゅんけいぬり

関東地方、茨城県の地域ブランド。
東茨城郡城里町で製作されている。日本三春慶の一つにかぞえられる漆工芸。1489(延徳元)年に、稲川山城主・源義明が、現在の城里町桂地区で始めたと伝えられている。江戸時代には徳川光圀も奨励し、水戸春慶の別名がある。春慶塗とは漆塗りの技法の一つで、器に透明な漆を塗って木目が透けて見えるように仕上げたものをいう。漆の精製から指し物による木地づくり・漆塗り・乾燥仕上げまでの工程が一貫しておこなわれる。現在は、重箱・盆・弁当箱・硯箱などの日常生活用品などが主製品。茨城県郷土工芸品。

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デジタル大辞泉プラス 「粟野春慶塗」の解説

粟野春慶塗

茨城県東茨城郡城里町に伝わる伝統的な漆工芸。透明な漆で木目が透けるように仕上げる。「水戸春慶」ともいう。15世紀に稲川山城主源義明が創始したと伝えられる。県指定無形文化財、かつ県指定郷土工芸品。

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世界大百科事典(旧版)内の粟野春慶塗の言及

【桂[村]】より

…主産業は農業で,和牛も飼育されている。特産物に阿波山の粟野春慶塗がある。人口流出が続いたため1980年には過疎地域の指定を受けたが,近年,人口減少に歯止めがかかっている。…

【春慶塗】より

…漆塗法の一種。木地に黄または赤で色付けし,透明な透漆(すきうるし)を上塗りして木目の美しさをみせる技法。一説に南北朝時代,和泉国堺の漆工春慶の創始と伝える。しかし正倉院に伝来する《赤漆文欟木厨子》は,木地を蘇芳(すおう)で染めて透漆を塗った今日の紅春慶塗の技法をみせ,すでに奈良時代から行われている。近世になり各地で各種の春慶塗が行われたが,現在は岐阜の飛驒春慶が主で,他に秋田の能代春慶(江戸初期,飛驒の工人山打三九郎が開いたという),茨城の粟野春慶,長野の木曾春慶などがわずかにその伝統を守っている。…

※「粟野春慶塗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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