指し物（読み）さしもの

精選版 日本国語大辞典

さし‐もの【指物・差物・挿物】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 当世具足の後胴の受筒(うけづつ)にさし込む棹(さお)につけた軍中の標識。文章や家紋・文字などを書いた四方(しほう)四半(しはん)の幟の類や、切裂(きっさき)や幣束などの作り物を棹につけ、陣中の役職、家門の標識としたもの。旗指物。
   1. 
      指物①〈最上屏風〉
   2. [初出の実例]「乗馬歩兵共一統之指物申付」(出典：秋田藩採集文書‐三・天正三年（1575）一二月一六日・武田氏陳触条目)
3. ② 木をさし合わせて作った物。机、箱、たんすなど板を組み合わせて作った家具や器具。〔日葡辞書（1603‐04）〕
   1. [初出の実例]「桑の木のさし物、竹細工名人あり」(出典：浮世草子・日本永代蔵（1688）三)
4. ③ 髪にさす飾り物の総称。くし、かんざし、こうがいの類をいう。
   1. [初出の実例]「さし物に念を入レた女郎衆も有るが」(出典：洒落本・伊賀越増補合羽之龍（1779）仲町梅音の段)
   2. 「黒出たちに鼈甲のさし物(モノ)」(出典：われから（1896）〈樋口一葉〉四)
5. ④ 金銀などの細工に、まぜ物をすること。また、そのもの。
   1. [初出の実例]「一遍打たし替へる度毎に何処でも皆さしものをするさかい」(出典：滑稽本・人情穴探意の裡外（1863‐65頃）三)

出典　精選版 日本国語大辞典