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漆工芸 うるしこうげいlacquerwork

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

漆工芸
うるしこうげい
lacquerwork

を用いて制作する工芸。東洋特産の漆を用いることから,中国,朝鮮,日本,タイ,ビルマ,インドなどで古くから発達した。中国では戦国時代(前403~前221)すでに漆器が盛んに制作された記録があり,当時の漆器が湖南省長沙県などから出土している。また漢代のものは朝鮮楽浪郡の古墳や中国新疆ウイグル自治区の楼蘭のほか,モンゴル,中国東北地方などでも出土している。日本でも漆工の歴史は縄文時代末期にまでさかのぼり,古墳副葬品のなかに漆器が発見されている。しかし,日本の漆工が発達したのは,仏教渡来とともに中国の漆工技術が伝えられてからのことで,法隆寺の『玉虫厨子』をはじめ正倉院宝物や法隆寺献納宝物などによって,当時の優れた漆工技術を知ることができる。以後,各種の技法が発達し,伝統工芸として今日にいたる。ヨーロッパに漆工が伝えられたのは 16世紀以後で,ポルトガル人やオランダ人,イエズス会の宣教師たちによって紹介され,それをもとにしてベネチアで初めて模作された。以後シノアズリー(中国趣味)の流行もあって 17~18世紀に隆盛をきわめたが,シェラック,カシューなど漆以外の塗料を用いたものが多く,また熟達した技術をもつ職人がいなかったこともあって,粗悪な品質のものが多かった。しかし,パリのマルタン一家,イギリスのトマス・チッペンデールのような優れた作家も出て,18世紀ヨーロッパの王宮建築のほとんどに漆の部屋がつくられるほどであった。ベネチア,ローマ,パリ,ロンドン,アムステルダムなどがその中心地であったが,なかでもパリは最高の技術を誇っていた。現在でもフランス,ベルギー,イタリアでは漆工が行なわれている。

漆工芸
しつこうげい

漆工芸」のページをご覧ください。

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世界大百科事典 第2版の解説

うるしこうげい【漆工芸】

器物に漆を塗り,その上に蒔絵や漆絵などの加飾をほどこした工芸。漆器は日本,中国,朝鮮,台湾,タイなどで産出し,その国の風土に適した技法が発達した。とくに日本の漆工芸は中国の強い影響を受けながら独自の発達をし,国際的にも認められ,西洋ではジャパニングの名でも呼ばれている。
【材料と技法】

[漆]
 漆は生漆(きうるし)と精製漆に大別される。生漆は漆下地,麦漆(むぎうるし)(生漆に小麦粉を混和したもの),拭漆(ふきうるし)などに用いられ,常温で乾固させる。

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世界大百科事典内の漆工芸の言及

【沖縄[県]】より

…漆芸の技法はおもに日本から学び,ろくろの技術も1629年(寛永6)に日本の漆工が沖縄に漂着し,那覇の若狭町で塗物と一緒に伝えたという。その後王府は漆工芸に最も力を注ぎ,中国の技法も取り入れて,沖縄の夜光貝を使用して作った螺鈿(らでん)(青貝摺)や中国の堆朱(ついしゆ)の技法を応用した琉球漆器独特の堆錦(ついきん)が生み出された。また明治以降は木地に特産のデイゴが用いられ,木肌の粗いデイゴへの下地塗りにキリ油や泥岩に豚血(とんけつ)を混ぜる豚血下地が行われ,廉価で堅牢なため今日も伝承されている。…

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