糸井郷
いといごう
「和名抄」所載の郷。同書東急本に「伊止井」の訓がある。円山川の支流糸井川流域の現和田山町北東部に比定される。「新撰姓氏録」大和国諸蕃に「糸井造 三宅連同祖。新羅国人天日槍命之後也」とあり、天日槍が住居を定めたという出石郡と境を接しているので、天日槍一族と関係する郷とされる。郷内とみられる現和田山町寺内に式内社佐伎都比古阿流知命神社が所在するが、「日本書紀」垂仁天皇八八年条に天日槍が但馬にとどまり、「其の国の前津耳(中略)が女、麻
能烏を娶りて」とあるところから、社名にみえる佐伎都比古を前津耳と同じとみて、この社を天日槍の岳父を祭神とする説がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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