日本神話にあらわれる人(あるいは神)の名。《古事記》では天之日矛と記す。同書によれば,水辺で太陽の光を受けた女が赤玉を生み,それを得た新羅皇子アメノヒボコが玉を床辺におくと,赤玉は女と変ずる。皇子はこの女を妻とするが,のちに逃げる女を追って日本に渡り但馬国に住んだという。この話は,女を追ってはらませる太陽,女を妻とし追って海を渡るアメノヒボコ,という同一観念より変化した二つの話が重複している。アメノヒボコの神宝には日鏡,波や風をきる比礼(ひれ)もあり,アメノヒボコは但馬に本拠を置いた渡来人(出石(いずし)人)が奉じた海洋太陽神であろう。また《播磨国風土記》では,剣で水をかくはんして海中に宿ったという話もあり,剣光を表象とする神でもあった。《風土記》では土地の占有を土着神と争う神でもあり,その系譜に田道間守(たじまもり)や神功(じんぐう)皇后がつながる。
執筆者:吉井 巌
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(関和彦)
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…この神は播磨国宍禾(しさわ)郡伊和村を本拠とする伊和君(いわのきみ)に祭られて,揖保(いいぼ),宍禾,讃容(さよ)などの諸郡に事績を残している。それによると,土地を開拓し,境界を定めて〈クニ〉の基礎を築き,天日槍(あめのひぼこ)と軍を起こして戦い,また集団の祭りに欠かせない酒宴の神でもあった。本来,各地方では〈クニ〉の始まりについてのいわれを語るために英雄神を創造した。…
…伝承的記事を除けば,国名の初出は675年(天武4)の侏儒・伎人を貢上せしめたという記録である。ただし,但馬国の古代を語るとき,史実かどうかは別として,天日槍(矛)(あめのひぼこ)の説話を忘れることができない。すなわち,新羅の王子である天日槍が妻を追って日本に渡り,九州から瀬戸内海を経て播磨・淡路・難波・近江・若狭などを遍歴して,但馬にいたってついに安住し,出石(いずし)神社の祭神としてまつられたという。…
※「天日槍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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