国指定史跡ガイド 「糸数城跡」の解説
いとかずじょうあと【糸数城跡】
沖縄県南城市玉城(たまぐすく)にあるグスク(城)跡。沖縄本島南部の知念半島から西へ延びる琉球石灰岩の崖上に築かれている。城壁石垣や城門の保存状態がよく、沖縄グスクを知るうえで重要な遺跡として、1972年(昭和47)、国の史跡に指定された。築城年代は不明だが、伝承によると、三山分立時代に玉城(たまぐすく)城の玉城按司(あじ)が領土支配のため、自分の次男を大里の大城(おおしろ)按司に、三男を糸数按司に封じて、それぞれ城を創建させたという。城を特徴づける城壁は、野面積みと切り石積みの両方が用いられ、高い所は6m。とくに「フエー(南)のアザナ」と呼ばれる見張りと展望をかねた櫓(やぐら)台の石積みは、石工技術の粋をきわめている。城の構造は比較的単純で、西側は自然の断崖を利用し、東側に城門1ヵ所を開き、北と南にアザナを備えている。一部戦火で破壊されているが、石垣の積み方や遺構の大部分が残っている貴重な古城である。那覇から車で約30分。