糸桜(読み)イトザクラ

デジタル大辞泉 「糸桜」の意味・読み・例文・類語

いと‐ざくら【糸桜】

シダレザクラ別名 春》「ゆき暮て雨もる宿や―/蕪村

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精選版 日本国語大辞典 「糸桜」の意味・読み・例文・類語

いと‐ざくら【糸桜】

  1. 〘 名詞 〙 植物「しだれざくら(枝垂桜)」の異名。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「わぎもこが箱根の山の糸(イト)桜結び置きたる花かとぞ見る〈顕昭〉」(出典:永暦元年清輔歌合(1160))

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とっさの日本語便利帳 「糸桜」の解説

糸桜

葉に先だって直径二cmほどの花を枝一面につける。しだれ桜の別名。
半日の雨より長し糸桜\松尾芭蕉
桜は万葉仮名で「佐久良」と書く。漢字に意訳すると「狭座」で、狭い山中岩場で咲く花ということ。山桜から命名されたものであろう。古代、山中の岩場は人々の奥津城(おくつき。墓場)であった。梶井基次郎が「桜の樹の下には屍体が埋まっている!(略)何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか」(『桜の樹の下には』)といったのも、ゆえなしとしない。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「糸桜」の解説

糸桜 (イトザクラ)

植物。バラ科の落葉高木。シダレザクラの別称

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世界大百科事典(旧版)内の糸桜の言及

【サクラ(桜)】より

…日本一大きいといわれる山梨県武川村の山高神代桜(やまたかじんだいざくら)をはじめ,山形県伊佐沢の久保桜,岐阜県根尾谷(ねおだに)の薄墨桜(うすずみざくら),巨岩を割って生えている岩手県盛岡市の石割桜(いしわりざくら)などはいずれもエドヒガンの大木で,天然記念物になっているものが多い。エドヒガン系の糸桜も同じころ枝をやさしく垂れさげて,淡紅白色一重の花を開く。福島県三春町の三春滝桜(みはるたきざくら)は糸桜の巨木として古くから知られており,京都市の平安神宮,東京都の神代植物公園などにある八重紅枝垂(やえべにしだれ)は紅色,八重の美しい花が咲く。…

※「糸桜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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