納棺師(読み)ノウカンシ

デジタル大辞泉 「納棺師」の意味・読み・例文・類語

のうかん‐し〔ナフクワン‐〕【納棺師】

遺体納棺するまでの作業を行う人。遺体の湯灌ゆかん身支度をするほか、エンバーミングを施すこともある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「納棺師」の解説

納棺師

亡くなった人の体を清め、死装束を着せ、きれいに化粧して棺に納める仕事葬儀というしめやかな儀式にかかわる職業のため、あまり知られていなかったが、納棺師を描いた映画「おくりびと」が第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことで、一躍注目を浴びる職業となった。
納棺師の仕事は、ただ納棺するだけでなく、亡くなった人の「旅立ちの準備」を整えるのが主な役割。かつては親族や地域の人が行っていたが、自宅葬の減少とともに、納棺師が手がけるようになった。特別な資格は必要なく、葬儀社専門スタッフが行ったり、フリーの納棺師が行ったりするケースが多いようだ。
納棺の手法は地域によってさまざまだが、一般的には、亡くなった人の体をきれいにふく、顔そりや洗髪をする、白い着物に着替えさせる、顔にメイクをほどこして表情を蘇らせる、などが一連の作業のようだ。簡単な仕事のようだが、失敗が許されない上、化粧の技術などはある程度経験を積まなければ身につかないため、最低でも数カ月から半年の研修期間を要するといわれている。
納棺は、単なる儀式というよりも、遺族が亡くなった人に最後の別れをする、遺体を清らかな状態にしてあの世に送り出す、という精神的な意味合いがあり、悲しみをやわらげるのに重要なプロセスともいわれている。映画「おくりびと」で描かれたのも、納棺を通して垣間見える、去り行く人への愛情と、残されたものの心のいやしだ。体ごと入浴させるように洗い清める「湯灌(ゆかん)」や、遺体を防腐処理する「エンバーミング」も、納棺と同様の効果があるとみられる。
だが、映画にも出てくるように、遺体を触る仕事はけがらわしい、忌まわしい、という偏見にさらされやすい一面もある。ただ、映画のヒットに伴い、納棺師の仕事が見直されてきているのも事実で、納棺師になりたい、という求職者も増えているという。

(高野朋美 フリーライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

葬儀辞典 「納棺師」の解説

納棺師

遺体を棺に納める専門のスタッフです。湯灌を行った後、整髪や髭剃り・薄化粧などを施し、経帷子やご希望の衣類に着せ替えをします。2009年2月、『おくりびと』が第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことがきっかけとなり、一躍、納棺師の仕事が注目を集めることになりました。

出典 葬儀ベストネット葬儀辞典について 情報

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