細孔径分布(読み)サイコウケイブンプ

化学辞典 第2版 「細孔径分布」の解説

細孔径分布
サイコウケイブンプ
pore size distribution

多孔質個体の細孔組織における孔径の分布気体吸着法および水銀圧入法がもっとも信頼のおける細孔分布測定法として広く利用されている.細孔体の細孔の大きさは,半径にしてゼオライトの0.2~0.3 nm にはじまり,生体膜,セロファンなどで数 nm,また沪紙の μm に至るまで大小さまざまで,それぞれある範囲の分布をもつ.気体,とくに窒素ガス吸着と凝縮を利用する細孔分布の測定方法は,細孔半径が0.35~0.5 nm と比較的小さな範囲を問題にする場合にしばしば利用される.吸着等温線より細孔分布を算出する方法としては,Cranston-Inkeyによる方法がもっとも有名で,この方法では,細孔を円筒と仮定している.また,水銀を圧入する方法で,半径1.5~100 nm 程度の範囲の細孔径分布が求められる.そのほかの方法として,水の毛管上昇を利用する方法,逆拡散あるいは飽水試料の気体透過による方法,X線小角散乱による方法などがある.また,光学顕微鏡や電子顕微鏡などによる直接観察も行われる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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