ゼオライト(読み)ぜおらいと(英語表記)zeolite

翻訳|zeolite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼオライト」の意味・わかりやすい解説

ゼオライト
ぜおらいと
zeolite

沸石のことであるが、ゼオライトというときは天然に産する沸石類だけではなく、人工的に合成したいわゆる人造沸石をも含めていう場合が多い。

 沸石類は本来その特性からイオン交換体としての用途が注目され、1907年にドイツで初めて合成品もつくられ、合成ゼオライト(商品名パームチット)として市販され、主としてイオン交換体として用いられていた。しかしのちにはむしろ骨格構造の空孔(くうこう)の大きさを種々変えることにより、大きさに応じた分子を選択的に吸着する吸着剤として用いることの有用性が注目されるようになった。この種のゼオライトは「モレキュラーシーブ分子ふるい)」とよばれ、たとえば、ゼオライトA(アメリカのリンデ社からリンデシーブ4Aとして市販)はNa12[Al12Si12O48]・NaAlO2・29H2Oで、0.4ナノメートルの空孔をもち、N2,O2,CH4,H2O,NH3などの分子を選択的に中に取り込む。ゼオライトAのカルシウム塩であるゼオライト5AはCa4Na4[Al12Si12O48]で、0.5ナノメートルの空孔があり、C14までのn‐パラフィン、n‐オレフィン、n‐アルコールを吸着するが、側鎖のある有機分子は吸着しない。このほかテトラメチルアンモニウム塩としたゼオライトNA Na4{(CH3)4N}3[Al7Si17O48]・21H2Oなどもあり、いろいろな大きさの空孔のものがつくられ、現在では工業的な規模で広く用いられてきている。また不均一系触媒反応に用いられる金属あるいは金属錯体担体としても用いられる。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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