ゼオライト

デジタル大辞泉 「ゼオライト」の意味・読み・例文・類語

ゼオライト(zeolite)

沸石ふっせきのこと。
沸石類似構造をもちイオン交換性を有する合成珪酸塩けいさんえん総称。合成され、硬水軟化イオン交換体触媒分子ふるいモレキュラーシーブ)などに使用

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精選版 日本国語大辞典 「ゼオライト」の意味・読み・例文・類語

ゼオライト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] zeolite ) ナトリウムアルミニウムを含む珪酸塩水和鉱物。沸石(ふっせき)など。ナトリウムイオンがカルシウムイオンやマグネシウムイオンと容易に交換するところから、古くから硬水の軟化に用いられたが、現在では吸着剤として多く用いられる。広義には珪酸質イオン交換体の総称。また、沸石そのものをさすこともあり、人造沸石を含めていう場合も多い。

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化学辞典 第2版 「ゼオライト」の解説

ゼオライト
ゼオライト
zeolite

沸石ともいう.結晶性アルミノケイ酸塩で,SiO2四面体とAlO2四面体とが三次元網目状に結合した鉱物.陽イオンを含み,この陽イオンは水溶液中でほかの陽イオンと容易に交換されるため,陽イオン交換体として利用される.また,構造中に比較的大きな空間があり,その入口径が分子の大きさに匹敵するため,分子ふるい作用を有する吸着剤として,さらに,触媒として多くの反応に利用されている.多くの天然および合成ゼオライトが知られており,結晶構造の相違,すなわち四面体の連結方法の相違により,7群に整理される.【】方沸石(analcime)群:代表例は,方沸石Na16Al16Si32O96・16H2O;立方晶系.十字沸石(harmotome)Ba2Al4Si12O32・12H2O;単斜晶系灰十字沸石(phillipsite)(K,Na)10Al10Si22O64・20H2O;斜方晶系.そのほか,P型ゼオライト,ジスモンド沸石,湯河原沸石などがある.【】方ソーダ石(sodalite)群:代表例は,水和方ソーダ石Na6Al6Si6O24・7.5H2O;立方晶系.エリオナイト(erionite)(Ca,Mg,K2,Na2)4.5Al9Si27O72・27H2O;六方晶系.オフレタイト(offretite)(K2,Ca)2.7Al5.4Si12.6O36・15H2O;六方晶系.そのほか,T型ゼオライト,Ω型ゼオライト,レビーナイトなどがある.【】A型ゼオライト(zeolite A)群:代表例は,A型ゼオライトNa12Al12Si12O48・27H2O;立方晶系.そのほか,ZK-4型ゼオライト,N-A型ゼオライトなどがある.合成ゼオライトのみで天然物はない.【ホージャサイト(faujasite)群:代表例は,ホージャサイト(Na2,K2,Ca,Mg)29.5Al59Si133O384・235H2O;立方晶系.X型ゼオライト(zeolite X)Na86Al86Si106O384・264H2O;立方晶系.シャバザイト(chabazite)Ca2Al4Si8O24・13H2O,六方晶系.そのほか,L型ゼオライト,Y型ゼオライト,グメリナイトなどがある.【ソーダ沸石(natrolite)群:代表例は,ソーダ沸石Na16Al16Si24O80・16H2O;斜方晶系.メソ沸石(mesolite)Na16Ca16Al48Si72O240・64H2O;斜方晶系.そのほか,スコレス沸石トムソン沸石などがある.【モルデナイト(mordenite)群:代表例は,モルデナイトNa8Al8Si40O96・24H2O;斜方晶系.白沸石(epistilbite)Ca3Al6Si18O48・18H2O;単斜晶系.そのほか,ビキタイトなどがある.【輝沸石(heulandite)群:代表例は,輝沸石Ca4Al8Si28O72・24H2O;単斜晶系.クリノプチロル沸石(clinoptilolite)Na6Al6Si30O72・24H2O;単斜晶系.タバ沸石(stilbite)Ca4Al8Si28O72・28H2O;単斜晶系.そのほか,ブリュースター沸石などがある.[別用語参照]ゼオライト触媒,ZSM-5型ゼオライト,モレキュラーシーブ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼオライト」の意味・わかりやすい解説

ゼオライト
ぜおらいと
zeolite

沸石のことであるが、ゼオライトというときは天然に産する沸石類だけではなく、人工的に合成したいわゆる人造沸石をも含めていう場合が多い。

 沸石類は本来その特性からイオン交換体としての用途が注目され、1907年にドイツで初めて合成品もつくられ、合成ゼオライト(商品名パームチット)として市販され、主としてイオン交換体として用いられていた。しかしのちにはむしろ骨格構造の空孔(くうこう)の大きさを種々変えることにより、大きさに応じた分子を選択的に吸着する吸着剤として用いることの有用性が注目されるようになった。この種のゼオライトは「モレキュラーシーブ(分子ふるい)」とよばれ、たとえば、ゼオライトA(アメリカのリンデ社からリンデシーブ4Aとして市販)はNa12[Al12Si12O48]・NaAlO2・29H2Oで、0.4ナノメートルの空孔をもち、N2,O2,CH4,H2O,NH3などの分子を選択的に中に取り込む。ゼオライトAのカルシウム塩であるゼオライト5AはCa4Na4[Al12Si12O48]で、0.5ナノメートルの空孔があり、C14までのn‐パラフィン、n‐オレフィン、n‐アルコールを吸着するが、側鎖のある有機分子は吸着しない。このほかテトラメチルアンモニウム塩としたゼオライトNA Na4{(CH3)4N}3[Al7Si17O48]・21H2Oなどもあり、いろいろな大きさの空孔のものがつくられ、現在では工業的な規模で広く用いられてきている。また不均一系触媒反応に用いられる金属あるいは金属錯体の担体としても用いられる。

[中原勝儼]

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知恵蔵 「ゼオライト」の解説

ゼオライト

アルミノケイ酸塩の一種。結晶構造に分子サイズの微細空孔を有し、そのサイズに見合った分子を吸・脱着したり、サイズの異なる分子が分離できる。窒素と酸素を分離する酸素富化膜、イオン交換体、種々の吸着剤や触媒の単体など幅広い用途に合成ゼオライトが用いられる。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ゼオライト」の意味・わかりやすい解説

ゼオライト
zeolite

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ゼオライト」の意味・わかりやすい解説

ゼオライト

沸石

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世界大百科事典(旧版)内のゼオライトの言及

【触媒】より

… 液相均一触媒反応における水素イオンと同様の役割を,固体であって酸性を示す物質の表面が果たすことがあり,固体酸触媒と呼ばれる。酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合ゲルにあたるシリカ‐アルミナや,両者が特徴ある結晶構造をとるため反応分子を固体内部にとり込むことのできるゼオライトは,その代表例である。カルボニウムイオン中間体の生成が反応進行上の鍵となる。…

【沸石】より

…低温加熱によって相当量の水分を放出するアルミノケイ酸塩鉱物の一群。ゼオライトともいう。化学成分はSiO2,Al2O3,アルカリ金属,アルカリ土類金属,さらにH2Oを含有し,立体網目状構造をもつ(テクトケイ酸塩に属する)。…

※「ゼオライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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