日本大百科全書(ニッポニカ) 「組棒」の意味・わかりやすい解説
組棒
くみぼう
棒を持って踊る沖縄の芸能。棒踊の一種で、沖縄諸島の北から八重山(やえやま)列島の与那国島(よなぐにじま)まで分布している。本来は武術(棒術)として発達したものが、その威力ある演技のため村々の豊年祭に取り入れられた。六尺棒を中心とした真棒(まあぼう)と、三尺棒を中心とした南島(ふぇーぬしま)棒に分かれ、さらに槍(やり)、薙刀(なぎなた)、鎌(かま)、櫂(かい)、釵(さい)、ティンベーなどの古い武具を使うものも含まれる。沖縄諸島では旧暦6月25日の強飯(かしちー)や、8月10日前後の村遊びのときに、八重山列島では旧暦6月下旬の穂利(ぷーり)に行われることが多い。5年目ごとの旧暦8月の豊年祭に行われる国頭(くにがみ)郡の今帰仁(なきじん)村の組棒は有名。稲や麦などの収穫祭に演じられるのは、棒そのものが災厄を祓(はら)うと信じられているからであろう。
[宜保栄治郎]