経済分析の基礎(読み)けいざいぶんせきのきそ(その他表記)Foundations of Economic Analysis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経済分析の基礎」の意味・わかりやすい解説

経済分析の基礎
けいざいぶんせきのきそ
Foundations of Economic Analysis

アメリカの経済学者 P.A.サミュエルソンの博士論文に基づく主著。 1947年刊。経済学の諸問題を制約条件付き最大化問題として定式化・一般化し,経済問題を数学を用いて解くという手法を定着させた。経済理論観察不可能な概念によって構成されていても,経済学における命題は検証可能な「意味のある定理」として導出しなければならないという論理実証主義的な考え方に基づく。顕示選好の理論により消費者理論の合理性を指摘,厚生経済学においてバーグソン=サミュエルソン流の社会的厚生関数を導入,一般均衡体系における動学的安定条件を定式化した。また比較静学の分析を通して IS-LM分析普及,対応原理により比較静学分析における比較静学の命題と動学的安定条件の密接な関係を指摘するなど数多くの貢献がある。

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世界大百科事典(旧版)内の経済分析の基礎の言及

【サミュエルソン】より

…マサチューセッツ工科大学(MIT)助教授(1940),準教授(1947)を経て,66年以来同大学のインスティチュート・プロフェッサー。主著《経済分析の基礎Foundations of Economic Analysis》(1947)は経済主体の行動を数学的に解析した古典で,経済学における数学の使用を不動のものにした。《経済学Economics》(1948,14版1980)は300万冊14版を重ね,20ヵ国語以上に翻訳された,経済学の最も標準的な教科書である。…

※「経済分析の基礎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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